てんぴょう : 展評

編集長日記

2011.04.07細切れになっていく日本美術に批評は・・・

ついに御三家が全員逝った。
今更御三家でもなかろう、という声も多いだろうが、彼ら以降そのような存在になった美術批評家はいないのだから、彼らの存在の大きさはかなりのものである。

ではなぜ御三家以降、そのような存在が生まれなかったのか。
それは日本美術の状況が細切れになっていったからだと思う。
例えば絵画は、日本画・洋画だったのが洋画内で抽象画・具象画に分かれ、さらに平面というものも入り込んできた。
「絵画で具象だけど、あの具象とはまた違う新しい具象だ」のように、とにかく何かとジャンルのようなものが生まれすぎて、日本の美術は細切れの散り散りになってしまった。そしてその一片一片に批評家等書き手がくっついてる状態だ。

本来は散り散りの状況から半歩でも引いて、どうにかして全体像をつかむのが批評だと思う。
まずは全体をつかみ、そして個々へ入っていく、ということだ。

まさに活躍中であった鷹見氏も逝ってしまい、日本美術の批評の停滞は免れないのが残念。勝手に散り散りになっていく断片をつなぎ合わせる歴史意識を生み出すのは、批評の役割であるだけに。

2011.04.05大震災の美術への影響を考える

なんともまぁ今年初めての更新。
展覧会はそれなりに見ているのだけど、
更新までの気力が生まれず。

しかし今回の大震災による影響、特に長期化が予想される計画停電が
美術にとっては長きにわたるボディーブローになる気がしてならない。
と思って久しぶりの更新。

美術を引っ張っていく美術館は、活動を縮小されるだろう。
電気を使用する作品に関しては、クレームもあるかもしれない。
新聞社文化事業部主催の、海外コレクション展は貸出しは渋られるだろうし、
派手な宣伝もできないだろう。

となるとギャラリーの出番になる。
その規模の小ささがフットワークの軽さにつながる。
数軒集まっての展覧会、もしくはチャリティーを兼ねたフェアなどなど。

大震災とは関係ないが、中原佑介、瀬木慎一という御大二人、彫刻の御大佐藤忠良、さらに中堅の鷹見明彦氏が相次いで逝ってしまったのも美術にとっては大きな出来事だった。
それについてはまた後日。

2010.10.27約2か月振り

ワールドカップ写真集にかかりっきりになってたら、
こちらを2か月も放置してた。
時折画廊には見に行ってるけど、美術館にはぜんぜん・・・。
というのも正直、見に行きたくなるモノがないので。

最近は、高島屋(日本橋、新宿)を立て続けに。
ほんとデパートも変わった、いや変わらざるをえないのか。
丸山直文、小林孝亘などが日本橋のメイン画廊で見れるとは想像もしてなかった。
で、別室では袴田京一朗だし。
一昔前の銀座の画廊のようだった。
で、新宿のほうでは和田ちゃんのインスタレーション。
新宿は当初から、いわゆるデパート絵画はしないという方針なのだけど、
インスタレーションもおっけーとは。

ところで、来週あたり、釜山・広州のビエンナーレ記事アップ予定。
もちろん、俺が行ったのではありませーん。

ではではー

2010.08.31保守が強くてこそ

さすがに猛暑のボディーブローが効いてきた。
日々ぼんやりしっぱなし、ぱなし。

ベルサイユ宮殿での村上隆さん個展に対して、
いわゆる保守系団体から猛烈な反対の声があがってるとのこと。
一方、フランスではアニメのイベントも盛ん。

このバランスが、多様な文化を生む土台なのでしょう。
これ最高!対それ最低!
やんややんやと賑やかな中で、育ち廃れを繰り返す。

とりあえず作品破壊、とかにはならないよう願ってます。

では、またー

2010.08.20フィルムとデジタル

先日、ワールドカップ写真集すべて下版。
ハードカーバー約250ページ、厚さ約3センチというなかなかのものになった。

今回は写真家清水和良さんの、写真集でもある。
清水さんは、最近までずっとフィルムで撮っていた。
しかしデジタルに移行しないければ、ということになり写真集も最近の写真はデジカメである。

これは見ればすぐわかるのだが、フィルムのほうがより人間の目に近い。
デジタルはすべてがクリアすぎて、薄気味悪いところがある。

清水さんにきいたところ、各メーカーはフィルムには戻れないので、デジタルでいかにフィルムの味わいをだすか、という目標を掲げているそうだ。

レコードがCDに変わったことを、ある音楽評論家は単に容量がでかくなっただけで、それ以外いいことはなにもなかった、と言った。
デジタルカメラは、どう評価されるのだろう。

では、またー

2010.07.28これも流れか・・・

先日、新世代への視点の初日へ。
いわゆる十画廊。
若い美術家が銀座を離れだしてしまったが、それでも出品作家は80年代前半生まれが多かった。
まだすべて見ていないが、作品内容もいいと思う。

ただ、合同で開かれたオープニングに人が少なかった。
以前は入れ替わり立ち替わりで、会場は混雑してたのになぁ、と。
雑誌関係はほぼ皆無だったし、学生もちらほら程度だったような。

これも流行だし、仕方ない、という割り切りもできるが、
求心力を取り戻す努力も、もう少し欲しいかな、とも思った。

では、またー

2010.06.21予想外も予想外

今更あんな開き直ってあんなガチガチなサッカーするとは思ってなかったし、
さらに勝ったりするとは思ってなかったし。
ま、19日はしっかり店で見てたのですけどね。
ラスト間際の長友の転倒では、PKと思って万歳してたり。

てな前に、アキバタマビ展の初日へ。
どこか懐かしい滅茶苦茶な雰囲気だった。
なにしろ最近は、完成度高いのが当たり前な絵画ばかりなんで。
今回のような無目的かつ滅茶苦茶な感じをキープし続けられたら、
10年後はおもしろいんだろうなぁ、と思った。
でも、それが一番むつかしいのだろうけど。
気がつけば無難におさまる、これが自然の流れだし。

では、またー

2010.05.286月は哀しいことになりそうな・・・

さてさて、一か月ぶりの日記。
というのも、現在ワールドカップ後に発売するサッカーの写真集の編集やらで忙しかったというか、日記を書く頭にならなかったというか。

ピカソが100億突破で落札されたり、パリ市美では合計約550億円分の作品が盗難されたりと派手なニュースはあったのだけど、現在の仕事の絡みでいえば、最悪な状況の日本代表が一番気がかり。

何もできなかった先日の日韓戦後のアンケートでは、日本代表に関心があるというのは4割以下。

6月は3連敗濃厚で帰国してくるのだろうけど、それは日本代表がつまらないのであって、決してサッカーがつまらないのではない、とメジャーマスコミはいってくれないかなぁ・・・。


では、またー

2010.04.19大変遅れてのアップ

本日、東京青山にあるニュートロンの記事をアップ。
こちらの不手際で1年遅れてのアップで、すみませんでした。
ニュートロンは、今回アートフェア東京にも参加するなど、順調に活動している画廊です。

そういえば、今回のアートフェア東京はブースも増えて以前にも増して混雑していた。
休憩所のような遊びのスペースが端にあるだけで、混雑時は人でごったかえす印象派の展覧会ようだった・・・。

では、またー

2010.04.06カルチャー大好き

本日、北鎌倉のポラリスでのスー・グリアソン展展評アップ。
あ、まだvocaを書いてない・・・。

先日、イギリスのとある会社がとった統計で日本人が美術展をかなり見に行ってることが判明。たしか世界でもベスト3に入る数字だったような。

これも各新聞社文化事業部の努力の賜物なんだろうけど、
美術展=名品展ということになってしまってるのが残念。
ルノワール、シャガール、ゴッホ、マネなんかは毎年何かの形で展覧会が行われてる気がする。
そして海外の有名美術館が工事になったら、そこの作品は収蔵庫へ行かず、
日本へ出張というのもよくあるパターン。
一方、日本人美術家はチャンスがあれば海外へ。
小さな島国は中継点となるのがベスト、ってことなんだろか。

では、またー

2010.03.30ギロッポン

本日、卒展雑感をアップ。
なんだか厳しい論調になってしまったが・・・。
あと2本アップ予定。


さて、先日はとにかく寒い春の中、六本木アートナイトへ。
国立新美術館からスタートして、六ヒルへ。
12時あたりまで滞在。

とにかく結構な混雑。イベントとしては、成功といえる人出。
で、雰囲気はバブル初期。もちろんいい意味で。
そういえば当時は、こういったイベントが結構あったなぁ、と。
空元気を出すには、いいイベントだったと思う。

ただ、ほんと寒かったので、
とん汁売る出店が欲しかったなぁ・・・。

では、またー

2010.03.16これも需要と供給

さてさて、卒展シーズンも終了。
後日、雑感としてまとめて書く予定。


先日、アーツ千代田3331へ。
親しい友人が画廊をそこにオープンしたのでにぎやかしに。
半数以上が売れるという好調な滑り出しでなにより。
うちが今の京橋に移転する前の場所のすぐ近くにあったので、驚いた。

しかし、建物自体には画廊はあまり入っていない。
大学や台湾の現代美術の情報センターなどいわゆる非利益の事務所が多い。
確かに、廃校となった中学校をそのまま利用したものなので、
お金を落としていこう、という雰囲気の建物ではない。

公立美術館が税収のものすごい落ち込みで元気を失くしてから、
何年になるだろう。
その間、いろんなプロジェクトが大学や非利益団体などの手によって行われてきた。

利益を得ないために、そういった事務所は一時的な仮住まいが多い。
なのでこういった場所は、いずれ生まれるものだったのだろう。

入場料800円をとっての展示もあったが、
正直高いかな・・・。

空き部屋もあったようなので、今後どのような事務所が入ってくるのかは楽しみ。

2010.02.26歌を聞きに

もう春一番っすか。
はやいねー。

歌、というテーマにひかれて恵比寿映像芸術祭へ。
上映でなく、展示のみ観覧。

歌というよりは語りを聞きにいった感じ。
写真も展示されてたけど、正直なんで?と思ってしまった。

歌を文字通り歌ととらえるか、音のつながったものととらえるかで、
評価は分かれるのかな。

昨年もそうだったけど、招待状のデザインとかはかっこよい。


では、またー

2010.02.23恒例卒展シーズン

先週は、寒かった。
いや、それ以上に日本代表が寒すぎる。
サムライジャパン()笑、と言われてしまう始末。

さて、先週辺りから恒例の卒展ラッシュ。
五美大展をはじめいくつかみたけど、まだまだあるある。
3月の上旬辺りまで、歩け歩け。
もちろん後日、まとめて展評にする予定。

では、またー

2010.02.04さっむい、さっむい

ピカソ作の肖像画が約12億円で落札され、
森ビルのアートフェアでは、リヒターのタブローが並び、
友人が広報に携わった麻布の高級カラオケ屋のアートフェアも盛況だった。

しかし、寒い大分で思わず居眠りしてしまったほどの試合が行われ、
結局、最後まで誰も叱ることのできなかった力士が引退を表明し、
うちの事務所では、30℃目指して暖房が奮闘する中、足もとにいつまでも冷気が漂う。

なんか、あーあ、って感じ

では、またー

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