EXHIBITION | TOKYO
シュシ・スライマン(Shooshie Sulaiman)
「fake M.」
<会期> 2023年9月1日(金)- 9月22日(金)
<会場> TOMIO KOYAMA GALLERY
<営業時間> 11:00-19:00 日月祝休
この度小山登美夫ギャラリーでは、シュシ・スライマン展「fake M.」を開催いたします。
シュシ・スライマンはマレーシアを拠点に活動する東南アジアを代表するアーティスト。
ドクメンタ12(2007)、シンガポール・ビエンナーレ(2011、2022)、光州ビエンナーレ(2014) 等をはじめ、日本でも「エモーショナル・ドローイング」(東京国立近代美術館、2008)「サンシャワー:東南アジアの現代美術展 1980年代から現在まで」(国立新美術館 / 森美術館、東京、2017)、「ヨコハマトリエンナーレ2017 島と星座とガラパゴス」に参加するなど国際的に活躍しています。
また2013年にアーティスト・イン・レジデンス「AIR Onomichi」に招聘されて以降、広島県尾道市において10年にもわたる長期的なプロジェクトを展開してきました。
現地の人々と対話、アイディアを共有しコミュニケーションを重ねながら、元八百屋の廃屋の部材を一つ一つ調査、解体。使用可能な材料は建築・彫刻作品に使用し、他の廃材は絵画等のアートワークに変容させ、実践的な創造行為を生み出しています。その変化や過程を前提とするプロセスは彼女の制作や思考において根幹となる大切なスタンスとなっています。
そして今年9⽉16⽇[土]−11⽉12⽇[日]、尾道市立美術館において、尾道での10年間の創作活動の中でも「風景」に焦点を当てた個展「NEWLANDSKAP ニューランドスカップ シュシ・スライマン 展」を開催することになりました。
本展はその同時開催となり、尾道で制作した木の彫刻作品、ペインティング、尾道でこの10年間描きためたドローイングを発表いたします。
【本展「fake M.」に関して
–風景との共振関係によって生み出された、内的な旅の軌跡】
本展タイトルの「fake.M」とは、尾道に魅了され、拠点であるマレーシアと往復し続けるさまをシュシ自ら「偽りの移住」(Fake Migration)と呼んだことから来ています。
一般的なアーティスト・イン・レジデンスよりも期間限定で成果を出すものでなく、また「居住(residence)」より、渡り鳥の「渡り(migrate)」のような、季節に従って行ったり来たりがくり返されるものに近いもの。自宅のあるクアラルンプール、故郷のムアル、先住民であるオラン・アスリの人びととプロジェクトを行っているペラ(マレーシア西海岸北部の州)、そして尾道と、シュシにとって大事な拠点となる4つの場所を渡りながら、彼女は人間や自然、宇宙を含めたその土地全体についての知識を少しずつ育んでいます。
滞在中にノートブックに記された文章や詩、ドローイング、制作された作品には、風景との共振関係によって生み出された彼女のアーティストとしての内的な旅の軌跡やイメージの拡がりを見てとることができるでしょう。
「fake(偽)」という言葉は、アーティストとして呼ばれているのだからそれらしく作品をつくらなければいけない、と思い込む、自身が何かを装う「偽」の状況に置かれていることを指しているとシュシは言います。
「偽」という言葉にはいい意味もよくない意味も含まれ、移住のようにみえるけれどそうではないとも言える状況は、肯定的なものにも否定的なものにもなり得る。愛するものを知るためには、その反対のものを知ることも大切であり、「両者がそろった不安定な状態に身を置いて作品を生み出すことが、アーティストには必要だ」と述べています。*1
シュシ・スライマンの制作において、「生」と「アート」は分かち難く結びつくものです。これからも彼女の制作は同時進行系で変化し続け、今回の作品、展示は、シュシ・スライマンの「今」を知る重要な手掛かりになるでしょう。
この貴重な機会にぜひご覧ください。
TOMIO KOYAMA GALLERY(小山登美夫ギャラリー)
http://tomiokoyamagallery.com/
東京都港区六本木6-5-24 complex665 2F
tel:03-6434-7225