EXHIBITION | TOKYO
フリオ・アナジャ・キャバンディング(Julio Anaya Cabanding), ジャン・コール(Jang Koal), クレオン・ピーターソン(Cleon Peterson), ユーン・ヒョプ(Yoon Hyup), トキ(TOKI), 大平龍一(Ryuichi Ohira), 中村哲也(Tetsuya Nakamura)
「Prism」
<会期> 2021年10月9日(土)- 11月7日(日)
<会場> NANZUKA UNDERGROUND 2F
<営業時間> 11:00-19:00 日月休
この度、NANZUKAは、グループ展「Prism」を開催致します。本展は、Julio Anaya Cabanding、Jang Koal、中村哲也、大平龍一、Cleon Peterson、TOKI、Yoon Hyupの作品を取り上げ、このパンデミックの最中でも、まばゆい輝きを放つアーティストたちの自由な創造性を示す展覧会です。
Julio Anaya Cabanding(フリオ・アナジャ・キャバンディング)は、1987年スペインのマラガに生まれ、現在もマラガに在住のアーティストです。精密な古典絵画を、使い古したダンボールや木の板、壁などに描いた作品で知られるCabandingの作品は、絵画をどこまで身近な存在にするかをテーマとしたアーティストの探求に基づいています。ストリートアートやアーバンアートの存在感が増す中で、現在の美術館やアカデミズムを頂点とするアートのあり方に、一石を投じようとする21世紀の新しいアートの形と言えるでしょう。
Jang Koal (ジャン・コール)は、韓国ソウル在住の若手アーティストです。楮(こうぞ)や桑といった植物から作られる「ハンジ」と呼ばれる伝統的な韓紙に描かれるその作品は、李氏朝鮮時代から伝わる水彩画の肖像画(美人画)の伝統を連想させます。Koalの作品が、色彩鮮やかなイラストレーション的手法を用いながら、どこか時代を超えた神秘性を持つのは、そうした用意周到な下準備によるものかもしれません。もの静かながらも強い意志を内面に湛えるその女性像は、歴史的な文化伝統を超えて新たな価値観を模索しようとするアーティストの無口な精神性を体現しているかのようです。
中村哲也は、「スピード」と「改造」という現代社会を象徴するテーマに、ジェット機を模した彫刻作品「レプリカシリーズ」、カスタムペイントカルチャーにおけるウェザリングの美学を踏襲したロボット作品や、生物学への関心を連想させる人工生命体のような造形作品を制作しています。 その作品は、しばしば誤解を伴って解釈されているイタリアの前衛芸術運動「未来派」に類するコンテクストを持っているとも解釈できますが、近年の中村の作品は、より有機的、生物学的な情報を連想させる造形へと移り変わり、一元的なエネルギーの視覚化、機能の視覚化といった20世紀的なテーマを超えて、その先にある未来における有機生命体の美学を私達に連想させます。
大平龍一は、東京都出身千葉県在住の彫刻家です。大平の作品は、自然の環境と人間の創作行為、あるいは表現とエネルギーの数値化され得ない関係性といったテーマを暗示します。また、自身も熱心な車のマニアである大平は、既に過去の遺産となりつつある日本の改造車文化を掘り下げた作品を制作しています。本展では、そうしたカスタム車を題材にして、材木を炭化させた「カーボナイズド・シリーズ」のレリーフ作品、及び木彫作品を発表します。
Cleon Peterson(クレオン・ピーターソン)は、ロサンゼルスをベースに活動するアメリカ人アーティストです。赤や黒の限られた色彩の中で、抽象化された人間が闘争や悪行を行う図を描き出す作風で広く知られています。その作風は、古代、ギリシャやローマ時代の壁画や壺の絵に由来を持ち、記録絵画の様式を纏っています。そこには、人間社会の歴史が権力争いと生存の目的に繰り返されてきた暴力に対する痛烈な風刺があり、現代の文明化した社会においては、しばしば覆い隠されている事実に、今も尚向き合おうとするアーティストの強いステートメントが響き渡っています。
TOKI(トキ)は、東京在住の男女2人のフォトグラファー・ユニットです。東京発信のファッション・フォトやコマーシャル・フォトを主戦場に、非凡なラインティングのセンスとテクニックを武器にした特徴的な作品で知られます。その作品の特異な点は、LEDが光学の中心に置き換わった現代において、ストロボ写真の隆盛期に開拓されたスタジオ撮影のテクニックを色感センサーカメラやプロジェクターといった機器を駆使しながら更新している点で、Tokiの生み出す作品は、それがアート作品であれ、コマーシャル作品であれ、テクノロジーの進化によって新たに開拓される美学といったテーマにおいて、大きな可能性を持っています。
Yoon Hyup(ユーン・ヒョプ)は、今後の活躍が期待されるデジタルグラフィック世代のミニマリズム絵画を牽引するNY 在住のアーティストです。幼少の頃から音楽やスケートボードといったカルチャーに親しみ、ポップカルチャーの中で育ったYoonの作品は、極限まで単純化された色彩と線と点の構成によっても尚私達にPopで新鮮な印象を与えています。今回、NANZUKA 2Gにおける個展と合わせて、昼の風景と夜の風景との2パターンの作品を対比的に発表します。
NANZUKA UNDERGROUND(ナンズカアンダーグラウンド)
https://nanzuka.com/ja
東京都渋谷区神宮前3丁目 30-10
tel: 03-5422-3877