<会期>2021年2月26日(金)- 4月3日(土)
<会場> MISA SHIN GALLERY
<営業時間> 12:00-19:00 日月祝休
MISA SHIN GALLERYは、2月26日(金)から4月3日(土)まで、同時代に生きる4人のギャラリーアーティスト、フランシス真悟、伊庭靖子、篠田太郎、小沢剛によるグループ展「paintings」を開催いたします。
フランシス真悟は、幾層にも重ねられたブルーの抽象画や、深い色彩のモノクローム作品によって、絵画における空間の広がりや精神性を探求し続けているアーティストです。フランシスの近年の「Interference」シリーズは、特殊な素材が引き起こす光の干渉によって、絵の具の複数の層に光が通り、見る角度によってさまざまな色が立ち現れるペインティングです。鑑賞者の動きがもたらす視覚の効果は、そこでしか感じられない絵画への体験を誘発します。
伊庭靖子は、クッションや陶器など身近な素材を題材に、その質感や空気感などを絵画上に引き出し、観るものの感覚にうったえる作品で知られるアーティストです。1990年代前半から活動を始めた伊庭は、一貫して対象物を写真で撮影し、その写真をもとに絵を描くという手法で制作してきました。2019年には東京都美術館で、およそ10年ぶりとなる美術館での大規模個展を開催。伊庭の2000年以降の仕事を振り返った内容となりました。本展では、クッションを題材にした近年の作品を展示します。
篠田太郎のペインティング作品「桂」は、油彩画の基本的な素材を用いて制作されていますが、私たちが見慣れたペインティングとは一風異なっています。麻布のキャンバス自体が大きな余白を作り、その余白は、端から中心部に向かって曲面を描きながら5センチほど窪んでいきます。中心部は平面となっており、抽象的な色の構成やグリッド状の線が、油絵の具によって描かれています。日本庭園の造園家としてキャリアをスタートさせた篠田は、西洋的な時空間の捉え方に違和感を持ちつつ、自分自身の時空間の捉え方をも、それがどのように獲得されたか疑ってかかります。ペインティングを鑑賞する距離ひとつ取ってみても、私たちの様々な共通認識やその延長線上にある生活、社会、文化に基づいた身体的なリアクションでもあると捉えます。篠田のペインティングは、それらを再考し、その前提となっているものを問い直すことから始まっています。
小沢剛は、古代から現代までの日本美術史上の名画を醤油で描き陳列した《醤油画資料館》を発表後、国内外の美術史上の名作を本物の醤油を用いて模写する「醤油画」シリーズを制作してきました。この架空の絵画ジャンルは、小沢の代表作の一つになっています。本作品は、アンディ・ウォーホルの「エルヴィス」を引用した作品です。ウォーホルによるポップカルチャーのアイコン「エルヴィス」を、日本のドメスティックなシンボルである醤油で描くことで、近代化と西洋化を一見成し遂げたかのように見える今日の日本を含め、戦後日本の現代美術史と世界の美術史の成り立ちに疑問を投げかけます。そして、この架空の絵画ジャンルは、「美術」というシステムそのものに対する疑問を改めて問い直します。
アートの最も古い手法の一つであるペインティングというメディウムにおいて、さまざまに挑みつづける4人の多様な表現をお楽しみください
MISA SHIN GALLERY (ミサシンギャラリー)
https://www.misashin.com/
東京都港区南麻布 3-9-11 パインコーストハイツ 1F
tel:03-6450-2334