EXHIBITION | TOKYO
青木野枝(Noe Aoki)
「Mesocyclone」
<会期> 2021年4月17日(土)- 6月5日(土)
<会場> ANOMALY
<営業時間> 12:00-18:00 / 金 12:00-20:00 日月祝休
ANOMALYでは、2021年4月17日 (土) – 6月5日 (土)まで、青木野枝 (あおきのえ) 個展「Mesocyclone」 (*) を開催いたします。
豊田市美術館、名古屋市美術館での同時開催となった個展「ふりそそぐものたち」から10年近くが過ぎた2019年、1年の間に3館 (霧島アートの森、長崎県美術館、府中市美術館) で青木野枝の大規模な個展が開催されました。作品を単に異なる美術館に巡回させるのではなく、それぞれの空間に取り組み、制作した新作を展示することにこだわったその大業を終え、ANOMALYでの初個展の開催となります。ANOMALYの空間を吟味してサイトスペシフィックに制作され、空間を大胆に変容させる巨大な鉄の最新作《Mesocyclone》は展覧会終了と同時に解体されるため、二度と本作品を見る機会はありません。2次元のモニターや写真からは伝わることのない一期一会の作品。新作のドローイング、版画とともに、今の青木野枝を知る好機です。
青木野枝は1958年東京都生まれ。埼玉県在住。武蔵野美術大学大学院修了。
80年代の活動当初から地球に水よりも多く存在し、古来より人類の近くに在った鉄という素材に魅了され、工業用の鉄板をパーツに溶断し、溶接して組み上げるシンプルな作業をひたすら繰り返すことで完成する作品を制作してきました。青木の手が関わることでそれらは素材本来の硬質感や重量感、さらには彫刻=塊という概念からも解放され、作品の置かれた空間を劇的に変化させます。展示空間や作品の置かれる場を注意深く観察し、可視、不可視に関わらず広くそこに存在するもの、そして見るものさえをも作品の一部として取り込み、インスタレーションとも一線を画した独自の世界を構築します。また近年は鉄以外の素材、石膏、石鹸、ガラスや建築資材である波板等を用いることで、自分の求める世界観をより重層的な表現で拡げています。
大型の屋内外公共彫刻や美術館での個展開催経験が多数あり、大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ、瀬戸内芸術祭、あいちトリエンナーレ等の芸術祭に参加し、芸術選奨文部科学大臣賞、毎日芸術賞、中原悌二郎賞受賞など数多くの受賞歴があることは知られる青木ですが、20年にわたって子供たちと一緒に鉄を切るワークショップを各地で積極的に開催し、地元の農作業や祭事に継続して参加している活動はあまり知られていません。北方民族の日々の生活から生まれたオブジェに強く惹かれ、地方で農作業に励む人々に深い敬意を抱く。追求するフォルムやコンセプトありきではない、あくまでも今を生きる自分の見たいもの、まだこの世にないものを表出させることに向かい鉄を切る。青木野枝が目指す彫刻家、彫刻とは何か。そして、青木の作品から私たちは何を受け取るのでしょうか。
ANOMALYオープンから2年半が過ぎ、私たちは今、想像さえしなかった、まさにanomalyな世界を同時体験しています。「現代アート」という言葉を超え、contemporary=同時代を生きる者の生み出した「もの」として是非ご高覧ください。
突然、螺旋状の彫刻をつくると決めた。
それが自立するかわからないまま、つくり出してみる。
何故ぐるぐると上昇し下降するのか。
何故螺旋なのか。
どこが螺旋なのか。
何を螺旋状というのか。
そして、これを「Mesocyclone」というタイトルにしようと決めたころ、
眩暈を生まれて初めて体験した。
天井の光が渦のようにまわり始めて落ちていく。
まわりのものがくるくると動いて落ちていく。
今まで両脚で立っていたことが信じられない。
どこが上なのかもわからない。
地表は固い平面ではない。
風景はそれ自体も動くものなのだった。
今まで見たことのなかった状況、それをつくりたい。
青木野枝 2021年4月
(*) 作品、展覧会タイトルはそのときどきで青木が強く惹かれるもの、こと、が選ばれています。
本展タイトルは気象用語であり、青木が常々思いをはせるこの世界に在る分子、循環する水の一様です。前回の個展では、全世界を恐怖と混乱に混乱に陥れることとなったコロナウィルスを期せずして模したかような形状の《微塵》を発表。この作品はコロナの影響で図らずも自由が丘のギャラリーで静かに4ヶ月間もの間、展覧会のスタートを待つこととなりました。
ANOMALY(アノマリー)
http://anomalytokyo.com/top/
東京都品川区東品川1-33-10 Terrada Art Complex 4F
tel:03-6433-2988