EXHIBITION | TOKYO
中西信洋(Nobuhiro Nakanishi)
「Memory of smoke」
<会期>2015年10月3日(土)- 10月31日(土)
<会場> Yumiko Chiba Associates viewing room shinjuku
<営業時間> 12:00-19:00 日月祝休
2015年10月3日(土)より、Yumiko Chiba Associates viewing room shinjuku にて、中西信洋の個展“Memory of smoke”を開催いたします。
私たちは先ず見ることによって物事や出来事を体験します。目の前にある対象を知覚しようとするとき、無意識 に視点をそこに合わせていますが、果たしてその視点の先にあるものは私たちが見ている通りのものなのでしょうか?中西は、視るという行為だけに頼らず、空間と身体の関係性の中で改めてものごとを認識しようとする行為そのものを主題として制作しています。
自身の彫刻的経験を基に、物体をポジとして捉え、その後ろにある(もしくは取り囲んでいる)空間をネガとして捉えることで地と図の関係をいずれの側からだけで捉えるのではなく、物質的なものと非物質、見えるものと見えないもの、時間と空間といった二項対立するものを両極から捉え、同在する世界を視覚化しようと試みてきました。2000 年代初期からはじめたレイヤードローイングとストライプドローイングはそうした姿勢をよく表す、中西の代表的なシリーズとなっています。
今回の展覧会で中西は、これらのシリーズと同時期からずっと関心を持ち続けてきた「煙」という概念に、中西独自のアプローチを試みます。空間に存在する物質でありながら、やがてそれらは蒸気して消えてゆく「煙」。確かに自分の視点の先を時折大きく占めながら、すぐに形を変えてなくなるもの。そこには、「見えるもの」と「見ないもの」といった上記のシリーズに共通するテーマと問題が内包されていますが、今回の新シリーズ「Memory of smoke」では、知覚認識的な関心だけではなく精神的な表裏一体性へも関心を移し ー例えば「創造」と「破壊」、「豊かさ」と「衰退」、「希望」と「恐怖」といった相反するものー を同時に浮かび上がらせます。それは、物理的にも視覚的にも精神的にも捉えようのない、しかし確かにそこに在るものに触れようとした行為とも言えます。「煙」は現代社会に生きる我々に実に様々な意味を想起させることでしょう。
■ ステイトメント
煙を見ると、コントロール不能で得体の知れない化け物が世界を焼き尽くす恐怖のようなものを感じる。
ある場所から絶え間なく吐き出される巨大な煙はそれを見る人々を恐怖に陥れ、
そこにいるわけではないにもかかわらず、何か人間がしでかしてしまったことに対する後悔の念のようなものを思い起こさせる。
原因と結果、豊かさと破壊の間にいつも煙が現れる。
これは形を持たない「畏れ」というものに触れようとする行為である。
このシリーズは2001年ごろから継続している煙のドローイングから始まった。
2015年8月19日 中西 信洋
Yumiko Chiba Associates viewing room shinjuku(ユミコチバアソシエイツビューイングルーム新宿)
http://ycassociates.co.jp/
東京都新宿区西新宿 4-32-6 パークグレース新宿#206
tel:03-6276-6731