EXHIBITION | TOKYO
冨井大裕(Motohiro Tomii)
「線を重ねる」
<会期> 2021年11月20日(土)- 2022年1月15日(土)
<会場> Yumiko Chiba Associates viewing room shinjuku
<営業時間> 12:00-18:00 日月祝休
2021年11月20日(土)より、Yumiko Chiba Associates viewing room shinjuku にて、冨井大裕の個展「線を重ねる」を開催いたします。
美術家・冨井大裕の新作個展を開催いたします。冨井は、主に既製品や日用品に最小限の手を加えた明解な構成手法からなる作品を通じて、彫刻の新たな可能性を探ってきました。
今回は、2018年にvoid +で発表した、ファッションブランド「tac:tac」のデザイナーが引いた服のパターン、型紙を元に作られた彫刻作品をさらに展開したものになります。冨井は、今回の新作で、既製品などの物体を用いるのではなく、あくまで他者が引いたパターンに「線を重ねる」ことによって彫刻を展開します。それは、二次元の平面上に展開されるパターンと呼ばれる「線」を引くことから服という三次元の立体を立ち上げていく衣服のデザインと、彫刻という立体が重なり合う(あるいは重ならない)地点を考えることであると同時に、「線を引くこと」を通じて、二次元の絵画と三次元の彫刻との関係を問い直すものであると言えるかもしれません。同時に、衣服と彫刻との交差は、両者が共通して、人体に強く拘束された表現であることも示唆しています。結果として、冨井の彫刻の「線を重ねる」行為は、衣服、彫刻、絵画、あるいは平面と立体とのあいだに、文字通り線を重ね、引き直す試みになると言えるでしょう。冨井大裕の新作個展を、ぜひご高覧ください。
アーティストステートメント
「線を重ねる」
2018年に「線を借りる」という展覧会を開催した。本展はその続編である。元々は、樹木をスケッチする=写すということをきっかけに、在るものをその状態のまま別の在り方に移すことを夢想したのがはじまりであった。【写す=在り方を受け入れる】と【移す=別の在り方を探る】を同時に保持する。それまでのものを置き去りにするのではなく、可能態として等しく残す。その実験、思考の方法として造形をする。そんなことを考える中でファッションブランド「tac:tac」のデザイナー島瀬さん、パタンナー島村さんと出会った。
2018年の展示では一枚のコートのパターン=線を借りて、縮尺も自由にその線を彫刻に「移した」。成果はあったと自画自賛をしつつもひっかかるものがある。そこで、本展を企画した。やることは基本的に変わらないが以下の様に変えている。変えたことを示すのではなく、作品から見えてくるものを変える。
服のパターンによる彫刻。ファッションブランド「tac:tac」の2021年秋冬コレクションのパターンから腕部、胴部、脚部を抜き出し、20㎜厚のアクリル板に切り出して垂直に組み合わせる。作品は、上から腕部ー胴部ー脚部の組み合わせによるものとその逆の順番(逆立ち状態)による組み合わせの2点。アクリル板の染色実験も兼ねている(前回で成功した青に加え、今回は緑を検討中)。塗装ではなく染める。
彫刻(人体塑像)の制作で使われる「アングル」と呼ばれる器具(粘土の像を立たせる為の支持具)を作品の一部として見せる。自立しない、何かに支持される事実を作品に含める。
パターンのサイズは原寸を採用する。選定は上記のプランを伝えた上で「tac:tac」の二人に選んでもらった。「tac:tac」と私、互いの想像のズレから像を仕立てる。統合でもどちらかに寄せるのでもない。まとまらないものに形を与える。
本展のタイトルは「線を重ねる」とした。発端となる線=パターンを服の側から拝借することは変わらないが、その線を彫刻の側に移すのではなくその手前に止めたい。パターン=線に宿る思考に別の思考を重ねる。重なるものと重ならないものを見たい。その上で、重ならないものを積極的に面白がれるか。
冨井 大裕
Yumiko Chiba Associates (viewing room shinjuku) (ユミコチバアソシエイツビューイングルーム新宿)
http://ycassociates.co.jp
東京都新宿区西新宿4-32-6 パークグレース新宿 #206
tel:03-6276-6731