EXHIBITION | KYOTO
松田幹也(Mikiya Matsuda)
「Slow Comfortable Screw」
<会期> 2023年2月4日(土)- 2月26日(日)
<会場> MORI YU GALLERY
<営業時間> 12:00-18:00 月火祝休
モリユウギャラリーは2月4日 (土) – 26日 (日) まで、松田幹也「Slow Comfortable Screw」 を開催いたします。
松田幹也は 1972 年に渡米し、2016 年に日本へ帰国するまでの 40 数年間ニューヨークに在住し、作品を制作してきた。
1981 年、松田はニューヨークの路上で、盤面に細かいグリッドが描かれた 6 フィート(1m80cm)四方の板を置き、アクリルの箱いっぱいに詰め込まれた screw(螺子)を板の端から一本ずつマイナスドライバーで捩じ込んでいた。一本終わってはまた一本と、均等な間隔で捩じ込むその数は、数万本。もちろん1日では終わらず、また次の日、またその次の日と 15 日間にわたるそのパフォーマンスはついに全てのscrew を捩じ込み終える。
彼のこうした行為は、グルジェフという思想家の「私たち一人一人の中に何百もの〈私〉が存在するのである」という文章から着想を得たという。「I」、すなわち「私」=「自分という存在」とはなんなのだろう、と。自問自答していく中で、ドライバーでマイナス screw を家で回していた時に、松田は screw に刻まれた「マイナス」がふと「I」にみえた。ニューヨークという巨大な都市で、ひとり日本人として働きながら、松田自身も日々成長しつつ、悩み、もがきながら自らの思考や意識が変化する様を、360°回転し変化していく「マイナス」screw の形象「I」になぞらえ、自分自身の内面を吐露するように、路上でパフォーマンスをおこなったのだろう。
松田は視覚的なものを文字として捉える場合もあれば、言葉の裏にある意味をこっそりと作品に忍ばせることもある。言葉遊びから発展させた作品群には、本を使った作品も多い。例えば今回のタイトルである「Slow Comfortable Screw」は、「Slow Comfortable Screw Against the Wall 」というカクテルからとられている。このカクテル名にはセクシャルな意味合いが隠されている。ただ松田はそこに関して多くは語らない。仄めかす程度である。我々もここでは作家に倣ってあまり多くは書かない。その解釈は、鑑賞者に委ねたい。
彼の作品は、ひたむきで淡々とした態度に支えられながら、思索的でウイットに富んでおり、またその実、裏側には多くの言葉遊びとともに連鎖していく意味の連なりが存在している。
今回は、松田幹也の日本での初個展である。上記の screw5000 本を板に固定した作品や、同様にその screw をキャンバスに数万本以上ドローイングした作品、本のある特定の言葉だけを浮き立たせるように、一文字だけが覗き穴のように強調された作品など約数十点を展示する。
MORI YU GALLERY (モリユウギャラリー)
http://www.moriyu-gallery.com
京都府京都市左京区聖護院蓮華蔵町4-19
tel:075-950-5230