EXHIBITION | TOKYO
マリオン・ペック(Marion Peck)
「Paintings from Lotus Land」
<会期> 2022年4月2日(土)- 5月1日(日)
<会場> NANZUKA UNDERGROUND
<営業時間> 11:00-19:00 日月休
この度NANZUKAは、ポートランド在住のアメリカ人アーティスト、マリオン・ペックの個展「Paintings from Lotus Land」を開催いたします。本展は、ペックにとって日本における初個展となります。
家族旅行中にフィリピンのマニラで生まれ、シアトルで育ち、1985年にロードアイランド・デザインスクールのBFA、その後ニューヨーク州シラキュース大学とローマのテンプル大学のMFAを取得。1990年に初個展(Marianne Partlow Gallery、オリンピア、ワシントン州)、以後サンフランシスコやNY、ローマ、パリなどにて数多くの展覧会を開催しております。
ペックのその作品は、北方ルネサンス時代の宗教画の世界を彷彿とさせる緻密な油絵を武器に、私たち鑑賞者を不思議な物語へと誘います。そこは、擬人化された動物、もしくは動物化した人間が登場する世界です。多くの場合、登場する動植物の大きさは非現実的です。よく目を凝らして見ると、微かな表情の違和感や異物の組み合わせによって、私たちの好奇心をくすぐるさまざまな仕掛けが施されていることに気がつきます。事実、ペックの描く極小とも言えるその絵画は、児童向け絵本のような親やすさと、迂闊に近づいてはいけない危険な香りとの絶妙なバランスによって生み出される魔法によって、私たち鑑賞者をその異世界に引き込むことに成功しているのです。
長年のパートナーである著名アーティスト マーク・ライデンの存在は、ペックの作品を語る上で、「ポップ・シュールレアリスム」を共に提唱するパートナーとしても非常に重要です。圧倒的な画力とパワー、完成度を武器に自らのスタイルを様式美とも呼べる次元まで高め、いわゆるローブロー系と呼ばれた作品性をアート界の壁を打ち破って広く世に知らしめた巨人 マーク・ライデン。これまで、その名声の影に隠れてか、ペック独自の作品性について語られる機会は、あまり多くはありませんでした。しかし、あるいはデビューが早かったペックがライデンに示唆を与えた可能性や、お互いの作品性を高め合う影響関係について考えるだけでも、その存在は非常に重要です。また、こうして現在ペックのフレッシュな作品を一堂に会する機会を得て、改めて見たときに、そこには夫ライデンの作品にはない非常に重要なポイントがあることに気がつくことでしょう。
ペックによる本展のタイトルにある“Lotus Land”は、古代ギリシャ神話における寓話に由来しています。日本の辞書では単純に「桃源郷」とも訳される場合がありますが、ホメロスの「オデュッセイア」に登場する“Lotus-eater”は、より複雑で教訓的なメッセージを象徴する存在として描かれています。
本展は20数点の新作絵画、及びドローイング作品を発表する予定です。「登場人(動植)物たちの表情」、そして「物語の行方」といったキーワードを参考に、本展をお楽しみ頂けると幸いです。
NANZUKA UNDERGROUND(ナンズカアンダーグラウンド)
https://nanzuka.com/ja
東京都渋谷区神宮前3丁目 30-10
tel:03-5422-3877