EXHIBITION | TOKYO
多田恋一朗(Koiichiro Tada)
「堂々巡りの夜のワルツ」
<会期> 2019年11月2日(土)- 11月17日(日)
<会場>Bambinart Gallery
<営業時間> 12:00-19:00 月火休
このたびBambinart Galleryでは、多田恋一朗 個展「堂々巡りの夜のワルツ」を開催いたします。多田は、1992年東京都に生まれ、2016年東京藝術大学を卒業、2018年東京藝術大学大学院技法材料研究室を修了しました。
在学中より精力的に発表を重ね、2019年には「生きられた庭」(京都府立植物園/企画・キュレーション 髙木遊)、「NEWEMOTION」(六本木ヒルズ A/Dギャラリー)に参加、多くの注目を集めています。
「不眠症である私の制作は、長い夜を食いつぶすように行われる。家族も友人も恋人もいないアトリエ。この世に自分しかいないような錯覚。次第に薄れていく記憶もあれば、少しずつ純化されていく記憶もあり、気づけば私の描くモチーフは一つに絞られていく。私の制作はあくまで記憶の中の在るモチーフを対象とした「観察描画」だが、記憶は物質ではないので制作の工程に「視覚的な観察」の動作が存在しない。そのため従来の観察描画にあるような「視覚的な観察」と「描画」を行き来するような反復動作がなく、キャンバス上では「描画」の動作だけが延々と連続的に行われていく。抑揚の無い制作工程の中、単調な筆致の連続でキャンバスからイメージを描き起こそうとするこの制作行為は、意味を持たない舞踊を目的に淡々としたテンポで奏でられる【ワルツ】のようなもので、そのテンポに乗ることで私は能動的に長い夜を食いつぶすことが出来る。
しかし、このワルツに完全に身を委ねてはならない。私が描く過去の記憶は形のない曖昧なもので、決して現実の話ではない。その事実を忘れ過去の記憶に飲み込まれれば、その先の現実を否定することになってしまう。それはつまり「死」だ。私の描く絵はキャンバスの淵の寸前でイメージが途切れているが、それは「死」の手前で起きる生存本能のようなもので、自分の感覚を現実に留めるための自制心の現れである。夜のワルツのテンポに乗っているにも関わらず「死」の手前では留まろうとしてしまうそのステップはぎこちなく見えるかもしれない。だが、それでいい。太陽が昇ればまた人々は動き出し、妄想の舞曲は終わりを告げる。その事実を受け入れることで、私は何度も夜のワルツに乗ることが出来るのだ。
実感のある過去を愛し、実感のない未来を畏れる。そのような二項対立を作ってはいけない。淡々と流れる夜のワルツに乗りながら、淡々と過去を記し、淡々と未来を受け入れる。どんな過去もかつては未来だった。それを忘れないように、不明瞭な世界を生きるために、私は堂々巡りの夜を望む。」(多田恋一朗)
弊ギャラリーでは、2016年に開催した個展「次元打ち鳴らす君のBEAT」以来、3年振りとなる新作個展です。どうぞご高覧ください。
Bambinart Gallery (バンビナートギャラリー)
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