EXHIBITION | TOKYO
ファビオ・マウリ(Fabio Mauri)
「EBREA」
<会期> 2016年11月26日(土)- 2017年1月14日(土)
<会場> Aoyama Meguro
<営業時間> 12:00-19:00(日18:00まで) *本会期中につき月火祝休
ファビオ・マウリ(1926年4月、ローマ生まれ-2009年5月、ローマにて死去)はイタリアを代表する重要な美術家のひとりで、存命中はベニス・ビエンナーレに5度(1954, 74, 78, 93, 2003)選出されるなどヨーロッパ中で活発に発表を続けていました。
生前に彼と親交のあったカロリン・クリストフ=バカルギエフがキュレーションをした2012年のドクメンタ13、そして再び2015年のベニス・ビエンナーレ(ディレクター, オクウィ・エンヴェゾー)ではエントランスから数カ所に渡り、大々的にマウリの作品が取り上げられ、再評価の高まる最中に有ります。今回はこのマウリの全キャリアの中で最も重要なテーマの1つである「ユダヤ人迫害」についてのシリーズから、特にイタリア語で「ユダヤ」もしくは「ユダヤ人女性」を表す”エブレア”に関係する作品を集め、日本では初めて、マウリの作品をご紹介致します。
本展はマウリの展示を何度も手掛けてきたAVIVSON(ロンドン)による監修と共催で、再制作ではなく生前に作家自ら手がけた作品を6点とファビオ・マウリ財団の協力により、長年マウリのアシスタントを努めて来たクラウディオ・カンテルミによるマウリの展示プランの為のマケット作品を出品、東京では1978年作”Europa bombardata(ボローニャ)”と本展全作品の為の解説映像を展示します。
本展の課題は戦争や他国での史実であるだけでなく、差別や加害者的に他者に無関心であること、他人への想像力の欠如、強調して行くことの難しさなど、今現在私たち日本に在住する者にも、この生態系に生きるものすべてへの敬いについて、思い巡らせることは多々あると考えます。
今年最後の弊廊での企画です。
最初で最後になるかもしれないファビオ・マウリの日本での展示を、是非この機会にご覧下さい。
ー作家についてー
1950年以降、イタリアの戦後美術は抽象絵画などが主流となった後、街や生活、自然といった身の周りを取り囲む様々なものを取り入れる”poor art(Arte Povera)”へと発展していきました。
Arte Poveraは、映像や機械による表現を取り入れるなどの芸術活動もある一方で、複雑な世界をありのままに表現しようとする大きな活動であり、美術だけではなく様々な分野にまで影響を及ぼしました。
ファビオ・マウリは、Arte Poveraの中心的なメンバーのヤニス・クネリスとの交流だけではなく、幼馴染であり著名な映画監督ピエル・パオロ・パゾリーニや、イタリアの代表的な評論家ウンベルト・エーコとも親交があり、演劇、パフォーマンス、小説や映画といったあらゆるジャンルから、記号、イデオロギーや権力などに対して考察し、表現に取り入れていました。
また、1990年には、日本の前衛的な抽象絵画を制作する団体「具体」のメンバーでもあった白髪一雄によるパフォーマンス「三番叟(さんばそ)スーパーモダン」をオマージュする作品を制作するなど、様々な分野と互いに影響し合い活動していました。
Aoyama Meguro(青山目黒)
http://aoyamameguro.com/
東京都目黒区上目黒2-30-6 保井ビル1F
tel:03-3711-4099