現在のメトロポリタン美術館所蔵品の中でも、館長として最も名高い作品の多くを入手するなど、敏腕館長として知られたトマス・ホービング氏が癌で亡くなった。78歳だった。
ニューヨーク市生まれ。
ティファニーの経営者であるウォルター・ホービング氏の息子として生まれる。
プリンストン大学で文学士号、美術学修士号、博士号を取得した後、メトロポリタン美術館の中世部門に入る。
1967年から1977年までメトロポリタン美術館館長を務める。
(館長就任中、「デンドール神殿」、ベラスケスの「Juan de Pareja」、「エウフロニオスのクラテール」を入手。評議会を説き伏せて購入予算を捻出させた逸話が残る。)
メトロポリタン美術館館長辞任後は、画家アンドリュー・ワイエスの人生や彼の贋作に関する本を出版したり、雑誌などでアートリポーターを務めたりするなど、その活動は多岐に渡った。
今年はじめの取材で、氏は自分の人生を振り返り「私はもうすぐ死ぬが、後悔はひとつもない。素晴らしい人生だったよ」と語った。
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