イヴ・サン・ローラン氏が所有していた中国の彫刻を台湾の美術館で展示をしない方針が発表された。中国と中国から分離した共和国である台湾との冷え切った関係を示す。
清王朝時代のブロンズ製彫刻2点は、1860年、フランスとイギリス軍の侵略時に不法に奪われたものだとされていて、北京はこれらの彫刻の返還を要求していた。また、国立故宮博物院のディレクターは、略奪品は博物院では展示をしない、としているため今回の決定に至った。
イヴ・サン・ローラン氏のコレクションは、北京の抗議にも関わらず、2月にオークションにかけられた。その際、中国人コレクターがこれらの2点の彫刻に対し、2300万ドルの入札を行ったが、支払いを拒んだため、その後は安全な環境で保管されることになった。
その一方、台湾と中国の美術館がこの60年間で初めての共同展覧会を開催。中国の美術館は、展覧会のために台湾美術館が所蔵する作品を借りるつもりだったが、台湾美術館は、台湾にある国の重要美術作品について主張を続ける中国との合意に至らない間は、台湾美術館から中国への作品の貸し出しはしないとしている。
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