2008年4月、東京がアートで揺れた。
いや、まあ揺れたってことはないけれども。アートフェア東京2008を中心に、ニュートーキョーコンテンポラリーズ、101Tokyo Contemporary Art Fair、アートアワードトーキョーと注目のイベントが目白押しだったのである。
簡単に説明すると、アートフェア東京は国内最大のアートフェア。108軒の出展ギャラリー(ジャンルは古美術・工芸から期現代美術、コンテンポラリーアートまで)は厳選されており、貸し画廊などは出展できず、企画専門のプロフェッショナルギャラリーで構成されている。
ニュートーキョーコンテンポラリーズは、新丸ビル7F(marunouchi)HOUSEで開催された若手コンテンポラリーギャラリーによるイベント。実行メンバーギャラリーは、青山|目黒、ARATANIURANO、ZENSHI、Take Ninagawa、MISAKO & ROSEN、無人島プロダクション、ユカ ササハラギャラリーと人気ギャラリーが揃う。
101Tokyo Contemporary Art Fairは、厳選された若手ギャラリー、若手アーティストを紹介。世界中のアートシーンの拡大とともに、東京のミーティングポイントとしての機能が期待されるコンテンポラリーアートフェア。海外からも多数の注目ギャラリーが参加している。
アートアワードトーキョーは、日本の主要な美術大学・大学院の卒業・修了制作展から選抜した作家によるコンペティション。世界に通用するアーティストを発掘する、エマージングアーティストもコレクターも注目するアートイベントである。
ほかにもコンテンポラリーのオークションや深夜にわたるパーティーの数々、marunouchi art weeksに絡んだ各種イベントが開催され、今年一番のコンテンポラリーアートシーズンだったことは間違いない。
そのコンテンポラリーシーズンの真っ只中、4月5日の土曜の夜に、最も多くの人を集めたのが清澄白河のとあるビル。
清澄白河には、注目ギャラリーが集まるビルがあり、合同オープニングが開催されたのだ。ギャラリーの顔ぶれは、Hiromi Yoshii、Magic Room?、Zenshi、SHUGOARTS、Taka Ishii Gallery、KIDO Press、MIYAKE FINE ART、そして小山登美夫ギャラリーである。
著者近影:語る小山さん
村上隆、奈良美智の仕掛け人として知られる小山登美夫氏は、コンテンポラリーシーズンでも最も多忙なアート関係者であったろう。
前出のアートフェア東京2008では、アートコミッティーを、101Tokyo Contemporary Art Fairではメインアドバイザーを、そしてアートアワードトーキョーでは、審査員を務めていたのである。
さらにニュートーキョーコンテンポラリーズは、「小山さんに聞こう!ギャラリー誕生物語」なるトークイベントを開催していた。
多忙である。
それで、この多忙の最中にアスキー新書から刊行されるのが小山登美夫著 『現代アートビジネス』 Contemporary Art Business by Tomio Koyama(定価780円税込、200ページ、新書判)だ。
「小山さんに聞こう!現代アートビジネス」なのである。
世界のアジアン現代アートへの熱視線。オークション価格の高騰。新興国の経済発展・・・すべてがアートを結節点に動き出した!
アンディ・ウォーホルの作品に80億円もの高値が付くのはなぜか?
そもそも、現代アートの「価値」は、誰が、どうやって決めているのか?
現代アートの伴走者たるギャラリストの役割とは何か?
世界の富が現代アートに集まる今こそ、「作品の価値」に基づいた健全なマーケットが必要とされている。
種も仕掛けもあるアートビジネスの世界を、奈良美智、村上隆を世に出したギャラリストが、豊富な実例を挙げて論じ、誰もが不思議に思っていた「アートとお金の謎を解く」待望の1冊です。
美術ファン、アーティストになりたい人、ギャラリービジネスに興味がある人、アートを買いたい人、必読。
著者近影:どこかしらキュートな小山さん
【小山登美夫 Koyama Tomio】
1963年東京生まれ。
東京芸術大学芸術学科卒業。
西村画廊、白石コンテンポラリーアート勤務を経て、1996年に小山登美夫ギャラリーを開廊。
奈良美智、村上隆をはじめとする同世代の日本アーティストの展覧会を企画・開催し、海外へも積極的に紹介。
現代日本のアートシーンを牽引する中心的ギャラリストとして内外で注目を集める。
日本のアートマーケットを確立することが現在の課題。
明治大学国際日本学部特任准教授。
小山登美夫著 『現代アートビジネス』 カバー
【本書の構成と内容の一部】
第1章 誰も見たことのないものに価値を見出す――ギャラリストの仕事
第2章 村上さんと奈良さん――アーティストはどこにいる
第3章 アートの価値はどう決まる――投資を考えている人へ
第4章 マーケットを動かすのはコレクター――アートを買ってみる
第5章 日本をアート大国に――アートビジネスの展望
小山登美夫著 『現代アートビジネス』 帯
奈良美智「Sprout the Ambassador」2007 (C)Yoshitomo Nara
村上隆「And Then, And Then And Then And Then And Then (blue) 」(C)1994 Takashi Murakami/Kaikai Kiki Co., Ltd. All Rights Reserved. Courtesy Shiraishi Contemporary Art Inc.
・日本の現代アートを海外に 文化的創造力の輸出
・アートのコピーライト化とブランド化
・ギャラリストから若手アーティストに伝えたいこと
・バブルの教訓をどう生かすか
・日本に健全なアートマーケットを!
・アートの値段はどのように決まるのか
・世界のアートフェアとオークション
・美術の世界基準はどこにあるか
・新興経済国のマネーがアートビジネスを変える
・正しいアート投資とは コレクターと投機家
・アートが国の広告塔になる
・企業とアート界が富を循環させる法……… ほか
さあ、書店に走ろう!(4月11日発売予定)
本書を手に取るBRUTASUフクヘン鈴木芳雄さんと小山さん