三木は、これまで「涙」や「感情」をモチーフにして、まるで胎児のようでありながら、また異星人のようでもある彫刻作品を制作してきました。その人物像はつやつやとした陶器のような質感を持ち、かわいらしくもありながら生きているものの持つ艶かしい生気を漂わせます。
今回は、これまでの「感情」というテーマからさらに広がりを見せ、自己の中に存在する「アンコントローラブルなもの」に眼差しを向けています。「境界域」という意味の「Boundary zone」は、この世に存在するあらゆるものがカテゴライズすることで認識されていく中、その狭間に生まれる曖昧なものを表しています。身体の生理的機能や意思に反し揺れ動く感情など、自らの身体や精神における「意識することもコントロールすることもできない領域」は想像以上に大きいのではないでしょうか。
三木は自身の「無意識」を表出させるため、ドローイングから制作に入ります。それらを元にして生まれ出た人物像たちは、掴み取ることの出来ない「境界域」に生きている異種族のようでもあります。そのような人物像と対峙する時、わたしたちは日頃感じることのできていない、無意識的でアンコントローラブルなものの存在の大きさに気付かされるのかもしれません。
今回は天井近くまで屹立する大作を中心に、すべて新作にて構成いたします。是非、ご高覧ください。
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