フェルナンド・カサセンペーレは、ロンドンに活動拠点を置くチリ出身のアーティストです。陶芸の可能性を追求した美しく有機的なフォルムの作品や、流れるようなマーブル模様の、亀裂や空洞を含んだ独特の彫刻作品を特徴とします。サンティアゴで生まれ育ち、プレ・コロンビア期の美術工芸や遺構に魅了されたカサセンペーレは、それらをコンテンポラリーアートの文脈の中で再解釈し、新たな造形へと発展させることに重きをおいてきました。環境問題にも強い関心を寄せており、チリ北部などのラテンアメリカの景観から着想を得た屋外での大規模なインスタレーションも多数手がけています。自然や生態系、地理への深い造詣に裏打ちされた作品は、ロバート・スミッソンやリチャード・ロングをはじめとしたランド・アートにも関連づけることができるでしょう。また、20年にわたる異国での生活も制作に多大な影響を与えており、カサセンペーレは次のように語ります。「イギリスのようにひらかれた環境に身を置いていると、ラテンアメリカの芸術や要素をより理論的、多角的に捉えられるようになり、自分の作品に対しての好奇心や関心が増加する。」
カサセンペーレの日本初個展となる本展では、作家自身が「骨」と呼ぶ小さな陶片の集合体や、様々な作品を削り出した後の欠片を一つの作品として再構成した作品などを展示致します。カサセンペーレは、ロンドンに活動拠点を置きながらも、故郷であるチリで採れた土を使用しています。銅の輸出大国であるチリでは、採掘により多くの鉱山が荒廃。深刻な環境破壊を引き起こしており、採掘後の破棄された土を用いたこれらの作品は、独特の密度と重みを持つのです。また本展は、1992年ハラミュージアムアークにて開催の「チリ現代美術展」に出展以来、作家にとって日本における25年ぶりの展示となります。この貴重な機会に是非ご高覧下さい。
フェルナンド・カサセンペーレは1958年サンティアゴ生まれ。1980年代にバルセロナにて陶芸と彫刻を学び、1986年チリに帰国。1997年にロンドンに拠点を移した後は「Falla Ideologico」(サンティアゴ現代美術館、2012年)をはじめとして、世界各地で精力的に個展を開催。2012年のロンドンオリンピックに合わせて開催された個展「Out of Sync」では、粘土で作られた約1万本の花をサマセット・ハウスの中庭に展示し、大きな話題を呼びました。また、昨年にはサンティアゴのチリ国立美術館にて大規模な個展「Mi Andadura」を開催し、好評を博しました。作品は、ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館やチリ国立美術館、ボストン美術館、ハーバード大学美術館などに収蔵されています。
この度の展覧会は、恵比寿のブックショップ「POST」にて、3月11日(土)〜4月2日(日)に開催のフェルナンド・カサセンペーレ展との同時開催となります。
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