この展覧会は、ゆるやかに、「Horror Vacui」(真空恐怖症)というコンセプトにもとづいて構築されています。真空恐怖症は、たとえば、絵画あるいはドローイングの表面が情報で埋め尽くされた状態として具現化されます。それはまた、白い空間、あるいは何もない空間に対する嫌悪でもあります。私が何よりも興味を引かれるのは、真空恐怖症的な作品において不可避の結果として現れる、絵画空間の混乱です。典型的な事例では、従来的な透視図法による空間が、固定された視点がもはや不可能であるような状態にまで崩壊することになります。結果として、多くの作品が心理学的、心傷的、あるいは幻想的なものとして解釈されますが、そこでは理性的・数学的な空間の縮約が回避されているので、それは当然のことかもしれません。この標題を、MISAKO & ROSENで開催されるグループ展のゆるやかな指針として使うことが面白いと考えたのは、それがこのギャラリーで展示される作品の傾向に反しているからです。会場では、いつものような作品は不在になるわけですが、それでも、その美学に対する鮮やかなコントラストが立ち現れることになるでしょう。
■アーティスト:
フリードリッヒ・クナス, ニキ・マルーフ, ウィリアム・J・オブライエン, コア・ポア, ディビッド・ラピナウ, ジム・ショー, ジェニー・スポタ, トーイ・ソートン
■キュレーション:
シェーン・キャンベル
東京都豊島区南大塚3-21-6, 1F
TEL:03-6915-2763