心から許せるものを描いてゆきたい。日々手に触れ感じた事を、私というフィルターが自動的に選択、抽出してゆく。意図せずとも降りてくる夢のような、作意を超えた心を描きたい。妥協した時間に一度でも幸せを感じた事があったろうか。創造の聖域は誰も踏み込ませてはならない。誰かの役に立ちたい、などとこれっぽっちも考えないように、世の中に受け入れられなくとも、そんなことは端からどうでも良いと思えるようになろう。奇想の絵画は、鬼が籠目を数えずにいられないように、毒を注いで麻痺させるように、目を奪い魅了しその場を動けなくさせるものでありたい。時には袋小路に迷いながら、露に濡れても輝くことはない。絵描きの性分は与えられた器量で全うするしかない。あるがままの姿をさらすことしかできない。
「花虫達」のシリーズ( Series:All the Flowers and Insects ) は、人の命の儚さと人知を超えたもの達との対比を描いています。人の命は生まれたときから儚さを内包していますが、儚いが故に生きる事に奮い立つ。儚さの象徴は生きる力の象徴でもあります。
亀井徹
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