ユカ・ツルノ・ギャラリーは天王洲に新しく誕生するアートコンプレックスに拠点を移し、そのグランドオープニングとして、ホセ・パルラの個展「Small Golden Suns」を9月10日(土)から12月3日(土)まで開催致します。パルラの2回目の個展となる本展覧会では、最新作として、約1年をかけて同時進行で描かれたペインティングのシリーズを発表します。このシリーズを通してパルラは、子どもたちの素晴らしさを称え、作家自身の子供時代と青年期の記憶を参照しながら、輝く太陽たちである子供たちが芸術に触れることの大切さについて言及しています。
パルラの作品は、キャンバス上に意図的に描き出されたレイヤー、痕跡、リズミカルな筆致が創造的に結びつけられた独特なスタイルで知られています。本展のタイトル「Small Golden Suns」は、これらの特徴を揃えた本展にて発表される大作のタイトルでもあり、パルラ作品の特徴がよく表れている作品です。パルラは、ペインティング、彫刻、写真、映像など多岐にわたる制作をしてきており、彼の芸術的な取り組みは公共空間にある都市の壁のような性質を持っています。彼の特徴でもある抽象的な身振りから生まれる渦を巻くようなカリグラフィーの筆致は、作品上に現れる記憶のようなレイヤーと質感を生み出し、過去の形跡は現在へと織り込まれます。
今日の世界中の子どもたちの状況を懸念するのと同時に、子どもたちの存在を称える必要性を感じているパルラは、彼自身の鮮やかで想像力にあふれ、冒険のように自由だった子ども時代を常に胸にとめています。その幼少期の経験から得たインスピレーションと、子どもたち一人ひとりがこの世界にもたらす創造的な魔法の大切さは、今現在も拡大しつつある、移民・環境・教育そして自由といった問題と向き合い、この地球規模の対話へと参加させています。
「芸術は癒しとなりうる」とパルラは言いますが、「それ以上にできることがあるはずだ」と付け加えます。パルラにとって芸術とは、感情を揺さぶり、もの語り、すべての年代の人間が共鳴できうるような冒険です。「アートはその日をより豊かなものに変え、子どもも大人も芸術によってポジティブな影響を受けます。世界中で日常的に見られる負の繰り返しから、想像力の世界へと抜け出せるように、それがたとえ一瞬だとしても、芸術は背中を少し押してくれたり、あるいは飛び込ませてくれたりするのです。」と、芸術の重要性について語っています。
パルラの作品は、それを視覚的に捉えた者が即座に自身と作品を結びつけるような手腕にあふれています。作品を見た観客たちが自身の人生を振り返り、そして自己対話を実現することで、作品に様々な読み解き方が与えられるのです。
パルラは1973年マイアミ生まれ。サバンナ美術大学とニューワールド・スクール・オブ・アーツでペインティングを学び、現在はブルックリンを拠点に活動しています。これまで国内外での様々なパブリック・プロジェクトに取り組んできていますが、近年ではニューヨークのワン・ワールド・センターのロビーに設置された約27メートルの大規模な壁画や、バークレーセンター(ブルックリン)の壁画、第11回ハバナ・ビエンナーレでのフランス人アーティストJRとのコラボレーションプロジェクトなどが大きな話題となりました。最近の個展に、ハイ美術館(アトランタ)、メアリー・ブーン・ギャラリー(NY)、ブライス・ウォクコヴィッツ・ギャラリー(NY)、ハウンチ・オブ・ ヴェニソン(ロンドン)などがあります。パルラはジャクソン・ポロックやジョアン・ミッチェルのようなアメリカの抽象表現主義の系譜を引き継ぐ作家として世界的な注目を集めており、国際社会におけるアイデンティ、マイグレーション、イマジネーションなどをテーマにした大型作品を中心に活動しています。
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