「現代のジャポニスム作家「亜 真里男」は、「3・11」以降の日本に、何を見て、何を描くのか!?
スイスに生まれ、ドイツに育ったアーティスト亜 真里男(あ・まりお/Mario A)は、1982年に来日して以来、約30年間、日本をベースにアーティスト活動を行っています。日本人よりも日本を愛してやまないその制作活動は、「日本趣味」=「ジャポニスム」の系統に属するものでしょう。
美術史でジャポニスムの代表作といえば、ゴッホの《花魁》やモネの《ラ・ジャポネーズ》等が挙げられますが、日本の美意識や独特な空間構成が、印象派をはじめ、西洋美術に強い影響を与えたことをそれらの作品から知ることができます。
タイトルの「The situation is under control」とは、「2020年東京オリンピック」の招致にあたり、国際オリンピック委員会総会で安倍晋三内閣総理大臣が行った演説の一節です。つまり、事故を起こした福島の原子力発電所がコントロール下にあるという内容でしたが、日々流れてくるニュースからは誰の目にも「NOT under control」であることが明らかです。
かつてのジャポニスムは主に美意識や形式を模倣しましたが、現代のジャポニスムは、美しく平和な日本を守るために、原発問題や平和憲法などに対する積極的な社会的言説を含んだアートとして、日本人に語りかけるべきだと作家は考えています。」
(出版社PRからの引用文)
「さて、本題のMario Aの絵画を手短にまとめておこう。その肝は、彼が前述の絵画の終焉に対して鋭い自覚で制作に取り組んでいることである。
ポストモダンの終焉の証拠となるのは、その構成要素の枯渇と方法の閉塞である。引用できる要素のアーカイヴが底をつき、その要素で作られるはずのシミュラークル絵画が霧散する。その現実を熟知した上で、彼が採用するやり方は、過去の歴史の全肯定である。具体的な活動としては、ポストモダンの時代と同じく、なにをやってもよい。だが、ポストモダンと決定的に違うところは、現代がなにをやってもなにかに似てしまう(これがポストモダンである)のではなく、まったく同一であると知っていることである。それによって、前掲の《When wrong attitudes become radioactive rice》と同様、一切の形式や方法を跨ぎ越し(もはや形式はないので内容もない)、直に対象に斬り込んでいく。彼の放つ批判の矢が、トートロジーと化した表現を打ち破って、対象の現実に突き刺さるのだ。
これが、情報化社会のあらゆる障害を乗り越えて、彼が批判する社会にピンポイントで介入するMario Aの鮮やかなマジックである。」
(市原研太郎:「ポスト情報化社会のアート―Mario Aの場合」からの引用文)
「日本のアーティストとして日本のために
...
真里男の視線は、東京という都市に向けられようとしている。 その新たな展開を見る前に、作家の3・11以後の活動を振り返ることにしよう。彼の歩みは、 日本の陰に光を当てる。」
(「亜 真里男 個展 The situation is under control」月刊ギャラリー、2016年9月号からの引用文)
「また今展では、首相官邸前で行われた反原発デモの光景を描いた作品も発表する予定だ。そこには「ATOMKRAFT? NEIN DANKE」(原子力? おことわり)という 旗が描かれている。原発に対する断固とした拒絶である。これらに新作を加え、約点による展覧会となる。今展が、原発に対し賛成であろうと、反対であろうと、人々が冷静に思考する一つの機会になることを願う。」 (「亜 真里男 The situation is under control 」月刊アートコレクターズ、2016年9月号からの引用文)
今回は、「ペインティングと写真の意味」・「社会とアーティストの役割」を考える上で、重要な相互関係・共時性を実感した時期になりました。
2016年に制作した油絵「Cool Japan」の10点と、以下の大作5点:
「Gogh, Kiyoshiro & Me (Summertime Blues - Tokyo 2020)」
「東京への風 (ヒロシマ・ナガサキ・フクシマ)」
「原子力明るい未来のエネルギー」
「炉心溶融」
「2012年8月17日、国会前「ATOMKRAFT? NEIN DANKE」(原子力?おことわり)」
などを展示いたします。
様々な反響を期待しつつ、皆様のお越しを心よりお待ちしております。
企画:青空 耳
〒153-0051 東京都目黒区上目黒2-30-6
TEL & FAX:03-3711-4099