大坂秩加は1984年東京生まれ、東京藝術大学で油画を専攻後修士課程で学んだリトグラフの技術は2011年の修了制作作品で如何なく発揮され、その才を多くの人に知られるところとなりました。修士在学中の2010年シェル美術賞展で審査委員賞を受賞、2014年にはVOCA展で佳作賞を受賞しました。2010年以来、当ギャラリーでは4回目の個展となります。多くのグループ展にも参加、2016年には京都市美術館で開催された「第2回PATinKyoto京都版画トリエンナーレ2016」に参加し発表の場を広げています。
高度な版画技術を持ちながらもその技法にこだわりはなく、当初から版画、水彩、油彩と作品を展開し、描かれる人物は極めて庶民的で親近感を持たせ、着衣や日常品の文様には日本の古い様式から転写され、どの技法からも現代的な浮世絵というイメージを想起させます。短編作家のように主人公の断片的な日常を切り取り、集約することである一面を浮かび上がらせる大坂の作品は、実際に大坂が考えた文章が添えられています。しかしその文章は作品の説明でも補完でもなく、作品のきっかけとしてあるというほどのものであり、さりとて捨てがたいという程度に必要なものとして並列されています。もちろん作家にとっては作品を描く上での手法であり、コンセプトでもあって切り離すことはできず、テーマに応じて繊細な工夫が講じられています。
そこではいろいろな世代の女性の日常が描かれ、文章と共に1点の絵画作品として発表しています。描かれる女性は「平凡」という二文字で括られるような女性の、しかし健気に生きる姿は見るものに親近感を感じさせていとおしく、見る人に共感を生み出しています。
本展では七夕の一日をテーマにし、舞台美術の経験から関連する生活音を交えることで、より作品にリアリティを吹き込む試みもなされる予定です。個展会期も七夕に合わせて、七人それぞれの交わることのない七月七日を描き出します。その日彼女らは何を想い、何を願うのか。版画作品5点、ペインティング2点での展示を予定しています。ご高覧お待ちしています。
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