川田龍(かわだ・りょう、1988年新潟県生まれ)は、東京造形大学を卒業後、現在は東京芸術大学大学院に在籍、絵画を制作しています。2013年にターナーアワードで未来賞を、TAMA ART COMPETITIONで天明屋尚賞をそれぞれ受賞した後、東京ワンダーウォール(2014)、第2回 CAF賞(2015)に入選するなど注目の若手アーティストです。
川田は、一見日常的な光景を描いていますが、そこに描かれた人物は特定することができないケースが多く、個人的な思い入れや繋がりを画題にしていないことがわかります。粗いタッチで構成された画面が特徴的で、モノクロームの印象が強く、不穏な気配が漂っています。絵画を制作する際にモチーフを組み立てて描く川田は、その段階で故意に嘘をつきます。それらは美術史に残る宗教画や肖像画、静物画といった様式を借用することで、意味深な手掛かりを残していますが、作品タイトルや展覧会タイトルが種明かしとなることもあります。例えば本展の「Guise」は外見や見せ掛けといった意味があり、描かれたものそのものに意味を持たせず、「無」であることが窺えます。
「私が何を描いているか、誰を描いているかに特別な意味合いはありません。私の手の届くものや、 擬製した何かを描くことで、私がリアルに感じる虚実の差異を探り続けています。」(川田龍)
およそ1年半ぶりとなる新作個展をどうぞご高覧ください。
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