小林正人、牧嶋タケシ、杉戸洋の三人のぺインターによる TABLE OF THREE 展は、来る10月の六本木移転を控えたシュウゴアーツにとって今後のさらなる冒険を予見させる展覧会となります。小林正人に展覧会の企画を打診したことに端を発する今展は、はからずもシュウゴアーツという場を通して、アーティストをはじめ様々な人との関わりや時間の流れを内包するものとなりました。小林が杉戸洋に声を掛け、二人が別々に接点のあったデュッセルドルフの牧嶋タケシを誘うことで、三人展の構想の実現に到りました。
「お互い別々の時間をタケシくんの家で過ごしているのだけど、ご飯を食べたり、語り合ったりしてた場所は同じテーブルであり、そのテーブルが中心にあった」(杉戸メモ)ということから「TABLE OF THREE / 三つのテーブル」をキーワードに、記憶の中のテーブルに加えて、シュウゴアーツウィークエンドギャラリーの青木淳デザインの銀の楕円机、さらに佐谷画廊・佐谷和彦が生前使用していた「社長」机がウィークエンドギャラリーへ持ち込まれます。小林と牧嶋と杉戸。この三人には外から窺い知れない連続性があり、そこにはお互いの力量を知るアーティスト同士の連帯感やしのぎ合い、あるいは緊張感が厳然と存在しています。時空を超えた三卓のテーブルを舞台装置に、三人のアーティストの真剣な競演がはじまります。
シュウゴアーツのプログラムは、昨今海外からの評価がかまびすしい50年代に始まった「具体」と70年代に始まった「もの派」が終わった80年代を起点にしています。集団としてではなく個々のアーティスト達の成果の蓄積を吟味し評価することでこそ、「具体以後」「もの派以後」の日本の美術の流れは明らかになるのではないでしょうか。そしてそれぞれのアーティストが同時代のアーティスト達との間に築くつながりや交流に注目したときに、そこには新たにスリリングな展開の局面局面が俄かに目の前に現れます。
TABLE OF THREE展はそのような見方に沿えば、芸術観を共有する50代40代30代のアーティスト達三人の世代差を感じさせないつながり・交流の所産でもあります。六本木の新しいスペースのオープンを10月に控え、固有のネーミングによるグループ化・レッテル化に捉われないアーティスト同士の、このような自律的なつながりが豊かな芸術的成果を生み出すことをシュウゴアーツはあらためて確認するものです。
シュウゴアーツ
154-0001
東京都世田谷区池尻2-7-12, B1F
tel: 03-6453-8296
fax: 03-6453-8290