伏黒歩(1977年生)は2003年に多摩美術大学絵画学科版画専攻を卒業し、鳥や花、木の根といった対象のシルエットを単色の色面を重ねて描く、夜の暗闇に浮かび上がる影絵のような作風の油彩を中心に発表を重ねてきました。
2013年より伏黒は、余計なものを削ぎ落とし続けた先に残る造形の純粋性を、陶を用いた"立体画"によって、より直接的に表現し続けています。油絵具を操るのと等しく粘土によって描かれた伏黒の立体画シリーズは、二次元の絵画を追求した結果生まれた三次元の新しい絵画の可能性を提示し、衝撃を与えました。
今展では、独創性に更に磨きがかかった新作の立体画を約60点と、立体画を生み出すプロセスを再び油彩画に還元した最新絵画約10点を新作として出品します。また、立体画の制作以前、2011年に描いた3m近い超大作の油彩をあわせて展示することで、伏黒の絵画への飽くなき挑戦と、常軌を逸した創作への情熱を俯瞰してご覧頂きます。
「展示をしていてよく、鳥が好きなのですか? と聞かれます。
改めて自分でも考えてみたのですが、そこらへんをパタパタと飛んでいる"鳥"が好きなわけではありません。自分の絵の要素、として使う鳥の形(シルエット)が気に入っているようです。
でも、鳥そのものを描いているのではなくて、鳥の形をした何か、を描きたいようなのです。」
目の前の素材と格闘しひたすらに手を動かし続けることによってのみ自分を越えた所に到達できることを証明してきた伏黒の作品は、近年多くのアーティストやクリエイターにもインスピレーションを与えています。
絵画(油絵具)から立体(粘土)を経て再び絵画へと戻ってゆくまでの創作過程を空間全体で体現する、伏黒歩の現在までの集大成ともいえる"2011-2016 Featuring Birds"にぜひご期待ください。
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