2016年4月8日(金)より、Yumiko Chiba Associates viewing room shinjuku にて、東恩納裕一の個展「Spill Light」を開催いたします。
東恩納裕一は、これまで私たちの日常の中にあるありふれた素材を使って、平面から立体まで幅広い展開をしてきましたが、その底辺には常に対象への尽きぬことのない好奇心と批評性があります。
日本の文化は、古くから他国からの影響を受けて独特の発展を遂げてきました。例えば6世紀から8世紀には百済、唐との交流によって平安期に日本独特の文化を花開かせ、明治維新以降は欧米の価値観や社会システムを積極的に取り入れてきました。こうした日本人特有の柔軟な受容性は、日本の文化に独特の多層性をもたらしました。
東恩納はそうして生まれた自分の文化に疑問をいだき、様々な方法で作品化を試みます。それは例えば、派手な花柄のビニールで作られたファンシーケースの作品や、造花やレースといった我々の生活に入り込んでいる日用品を使った絵画作品となって表現されています。
今回の展覧会では、東恩納のそうした姿勢が広く知られるようになった、蛍光管を使ったライトワークスシリーズの新作を展示いたします。
歴史的にもハイソサイエティの富の象徴でもあるシャンデリアを日本の日常性に組み込み、西洋文化とそれを模範とする戦後の日本人の精神性を批判しながら、より強烈なゴージャス感をビジュアル的に与えたシャンデリア型の作品は2001年に初めて発表されますが、そこに表現されたコンセプトと視点は、歴史的な観点から鑑みても、今でも古びることがありません。
「西欧における光が、神の視線(ゴシック教会のステンドグラス、"ヤコブのはしご") や啓蒙(enlightenment)と類比的であるとすれば、日本における光は、テクノロジーへの偏愛によるフェティッシュなモノ(物質)に近いのかもしれない。」と東恩納は言います。この過剰な光を放つ蛍光灯のオブジェは自身を露わにしていると同時に、その光で見る者の衝動を暴き出し、そして解放するようでもあります。
今回は、これまでの「露わな光」ではなく、「ベールを被った光」からアプローチし、「光」が私たちに何をもたらしてきたかを再度、問おうとするものです。(「Spill Light」は、舞台、写真撮影などの現場で、照明をあてるメインの対象以外の部分に及ぶ光、漏れる光のことを指す言葉です。)
今回の個展に合わせ、荒木夏実氏(森美術館キュレーター)をゲストに迎え、トークイベントを開催致します。この機会に是非ともご高覧ください。
Yumiko Chiba Associates Viewing Room Shinjuku
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