森万里子は90年代半ばより国際的に注目され、世界各国の美術館で個展を多数開催、作品も数々の公的な場所にコレクションされています。
2007年からこれまでの活動を総括する大規模な個展が世界中で展開されてきました。ヨーロッパから始まり、2011年にはブラジル3都市を巡回、2012年ロンドン・ロイヤルアカデミー、翌年はNYにて、2015年には豪州の美術館で行われ、いずれも大変好評を博しました。
近年は屋外へのモニュメント的な作品設置プロジェクトも手がけており、2010年に宮古島に作品を設置しました。
本展で中心となるのは、展覧会タイトルにもなっている最新のシリーズ作品 "Cycloid" です。サイクロイドとは円がある規則のもとで回転するときに描く軌跡の総称で、特に外サイクロイドの作る、外部に増殖していくかのような形を作品に取り入れています。複雑で繊細な形が絡み合って広がっていくアルミニウム製の彫刻作品は、パールのように輝く塗料で覆われており、永遠の回転を感じさせる躍動感にあふれています。
また、エキピロティック宇宙論、ブレーン宇宙論の解釈に基づく彫刻も併せて展示されますが、これら2つの理論の提唱する「宇宙は誕生や消滅を繰り返し、始まりもなければ終わりもない、またパラレルに空間が存在する可能性すらある」という概念は、森万里子が長らく作品の主題に取り上げてきた自然との融合や、輪廻転生と驚くほど似通っています。必然的に作品の要素として取り入れられ、メビウスの輪のような形状を持つ作品として理論の概念が可視化されました。
同時に展示されるフォト・ペインティングは、森万里子が沖縄の海を見ながら描いたドローイングが元になっており、目に見えない自然のエネルギー、粒子の世界に形が与えられたという趣です。
常に探求し続けるアーティスト、森万里子の現在の活動を紹介する本展覧会を、是非ご高覧下さいますようご案内申し上げます。
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