オオタファインアーツでは九谷焼の赤絵作家・見附正康の個展を開催します。弊廊での個展開催は約8年ぶりとなります。
白磁にベンガラと呼ばれる酸化鉄で上絵付けする赤絵は、中国・宋代に始まったと言われています。九谷では江戸後期に赤絵スタイルが誕生し、飯田屋八郎右衛門により「赤絵細描」としてさらに昇華されます。
飯田屋の流れを継承する見附の作品は、手彩とは思えない細密な線描を特徴としています。筆一本から生み出される無数の細い線と小さな点。それらはコンピューターで描いたかのように均質に並び、現代的な幾何学模様を構成します。一見無機質にも見えるパターンには、麻の葉、亀甲のような日本の伝統柄から、アラベスク風、中世ヨーロッパ風の柄など、様々な文化の要素が融合しています。
今展では、新作を含む大皿を中心に展示を行います。陶磁の白と赤絵のコントラスト、アクセントとして加わる金彩や七宝の青の軽やかさ。直径約50センチの画面いっぱいにパターンが広がる大皿では、見附作品の美しさがより一層際立ちます。また、新作では今まであまり見られることのなかったモチーフもパターンに加わり、今後の展開を期待させるものとなっています。
時代も文化も超越する独自の赤絵スタイル。それを支える伝統技術の素晴らしさ。この機会に見附作品の世界をぜひご堪能ください。
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