この度 ARATANIURANO および NADiff Gallery( 恵比寿 ) の 2 会場にて、梅津庸一個展 「ラムからマトン」 を同時開催いたします。 また梅津の作家活動 10 周年を節目に、作家初となるモノグラフ 『ラムからマトン』 を出版いたします。
梅津庸一 (1982 年山形県生まれ ) は東京造形大学絵画科卒業後、ラファエル・コラン
(1850-1916) の代表作「フロレアル」を自らの裸像に置き換えた「フロレアル (わたし )」でデビューしました。 また、昨年開催された個展 「智・感・情・A」 (2014 年、ARATANIURANO)では 黒田清輝 (1866-1924) の「智・感・情」をアップデートした、四枚の絵画により構成される「智・感・情・A」を発表し注目を浴びました。 ドイツのシュメーラー・ハウスで行われたレクチャー「museum global?」でも「智・感・情・A」が取り上げられたばかりです。
梅津は日本の近代洋画の表層的なシミュレーションに留まることなく、絵画の制度的な側面や受験教育の痕跡を辿る試みを絶えず模索し制作を行っています。「絵画説明会」 (2011 年、スプラウトキュレーション )、「であ、しゅとぅるむ」(2013 年、名古屋市民ギャラリー矢田 ) で企画された「優等生」などを経て、梅津は不定形の理想共同体「パープルーム」を立ち上げます。
「パープルーム」とは梅津が主宰する私塾の活動のことで、梅津は自身の自宅で二十歳前後の生徒 5 名と共に制作、共同生活をし、様々なゲストを交えながら日々活動しています。 今夏に開催された 「パープルーム大学物語」 (2015 年、ARATANIURANO) では、 「パープルーム」 に参加する複数名の作家たちによって重層化した空間を高密度に実現し、また、SNS 上で活発な議論や批評が交わされ、大きな盛り上がりを見せました。
今回の個展では、生後間もない 「ラム」 と成熟期の 「マトン」 の表象を思い描きつつ、 2 会場での展示構成を行います。 NADiff Gallery 会場では 「ラム」 期、つまり初期作品を中心に新作も交えた展示を行います。 一方、「マトン」期をテーマとした ARATANIURANO 会場では、1900 年に開催されたパリ万博において黒田清輝の 「智・感・情」と共に展示されていたフェルディナント・ホドラー (1853-1918) の 「昼」 (1900) を下敷きにした、幅 3m を超える大作のほか、パフォーマンスの記録映像、戯曲家である岸井大輔のイベント 「アジアで上演する」 で展示された作品「パープルームのプロパガンダ」を大幅に改編したものなどを展示、構想画、美術運動をテーマに据えた新作を中心とした空間が作られる予定です。
忘れられてしまった ( あるいは意図的に忘れられた ) 過去を掘り起こし、分断された歴史を繋ぎ直して、 更にそれを刻み込もうとする、 美術への大いなる愛を行為する梅津庸一。 撹拌された日本を含む東洋・西洋美術史、作家個々の持つ個別の歴史は、梅津自身の身体を用いて別の新しい形となって生き直され、 私たちの前に姿を現すかもしれません。
また、 会期中には、8 名の多様な視点を持つ執筆陣により書かれたテキストを収録したモノグラフ 『ラムからマトン』 の先行販売も行う他、トークや上演なども予定されています(イベント詳細につきましては、弊廊ウェブサイトや SNS にて随時お知らせいたします)。
第二会場:NADiff a/p/a/r/t
2015年11月20日(金) - 2016年1月11日(月) 12:00 - 20:00 / 月曜休み
東京都渋谷区恵比寿1丁目18-4 NADiff A/P/A/R/T 1F Tel 03-3446-4977
http://www.nadiff.com
〒108-0072 東京都港区白金3-1-15-2F
Tel:03-5422-8320
http://www.arataniurano.com/