このたび、NANZUKAは、1977年生まれのイギリス人アーティスト、オリバー・ペイン(Oliver Payne)の新作個展「EVERYTHING ON ALL AT ONCE FOREVER」を開催致します。本展は、2012年の個展以来2度目となる当ギャラリーにおける個展となります。
オリバー・ペインは、イギリスのキングストン大学芸術学部を卒業後、1990年代後半からニック・ラルフとのコラボレーションアーティストとして、スケート、ハードコアミュージック、パンク、グラフィティなどのストリートカルチャーをベースにした映像作品やインスタレーション作品を中心に精力的に創作活動を行ってまいりました。2003年にはヴェネチア・ビエンナーレにおいて金獅子(最優秀)賞(第50回ヴェネチア・ビエンナーレ、若手作家部門)を受賞、2004年にチューリッヒ・クンストハーレでの個展、2006年サーペインタインギャラリー(ロンドン)での個展など若手アーティストとしては異例の輝かしいキャリアを誇っています。日本国内でも、2004年に水戸芸術館「孤独な惑星」に出品、2008年のヨコハマトリエンナーレにも出展しています。2009年以降、ペインとラルフはそれぞれソロアーティストとしての活動に移行し、ペインは特にテレビゲームやパンクロックシーンなど、サブカルチャーを土台にした作品を制作し続けています。
オリバー・ペインの作品は、私たちが常識だと認識している、あるいは許容している世界への疑いからスタートします。近年行っているパフォーマンス「Chill Out」では、ペインは参加者に対して携帯電話やインターネット環境などを全て遮断して、その場に静かに留まることを求めます。あたかも仏教の座禅に似ていますが、同時に伝説のパンクロックバンド「CRASS」を信奉するコミュニティーの無政府平和主義的なライフスタイルへの尊敬も反映しています。あるいは、ペインが過去に発表したコラージュ作品(古いアートブックに掲載されたギリシャ彫刻を日本のTVゲーム「首領蜂(ドンパチ)」からインピレーションを得た弾幕のステッカーをデザインして貼付けた作品)は、西洋文明が自らのアイデンティティの象徴として捉えるアイコンを、日本のTVゲームに象徴的な暴力性が圧倒的に支配する様相を表しています。それは画一的な芸術の権威が、実は妄信的に作られたものである事を暗示しています。
本展「EVERYTHING ON ALL AT ONCE FOREVER」は、東京(NANZUKA)と香港(AISHONANZUKA)の同時開催にて、TVゲームやロボットアニメーションなどの象徴的なイメージを抽出した作品を基に、両会場を繋いだインスタレーションを展開します。異なる二つの空間を繋ぐ扉を往来するアクションパズルゲーム「Portal」を基にした壁画や、ゲーム機が搭載されたスクールデスク、フィールドリサーチを基にした映像作品、そしてスクリーンプリントを施した平面作品などを展示する予定です。
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