GALLERY MoMo Projects(六本木)では10 月3 日(土)から10 月31 日(土)まで古畑智気の初個展「moment」を開催します。
古畑智気は1986 年長野県生まれ、2011 年愛知県立芸術大学大学院修士課程油画領域を修了し、グループ展などを中心に名古屋で活動を続け、 近年活動の拠点を取手市のスタジオに移して制作を開始、昨年の3331 ART FAIR(3331 Arts Chiyoda)では、当ギャラリーより出品し、林 直樹賞を受賞しました。
これまで、本来ならば隠すべき、そして隠れてしまう木枠をキャンバス上に描きだしたり、木枠自体を作品として組み合わせ、色を加える ことで重なり合っている木枠の位置関係を曖昧にする作品などを発表してきました。見えない部分や見せない部分を作品として利用し視覚化 することで、古畑は絵画と向き合い、その構造を大事にしてきました。
近作ではアクリル絵の具をキャンバスに置き、鉄板で掻き取ることで生まれる抽象的な痕跡とそこから生まれる不確かさに重点を置き制作 し、形態は用具と素材とある程度予想を加味した偶然の結果で、その過程は「単なる現象」に過ぎないと語っています。
制作の前と後にはどうできるか分からないという不確定性があり、「作品は表現をその不確定性に投げ入れ、またその不確定性ゆえに自分 へ投げ返されるのだ。」と語っていることから、作家の予測し得ない結果も含めて作品として提示しているようです。
今回新作ペインティングを含めおよそ10点の出品作品による初個展となります。新たなアーティストの出発を、期待を持ってご高覧いた だければさいわいです。
アーティストコメント
ここにあるのは木枠に張られた布である。 私はそうしたシンプルな事実から始めようと思いました。 布に絵具をおき、鉄板で掻きとる。これは特別な行為ではなく、とてもシンプルに 考えて自然に行きついた方法でした。
何かを突きつめていったとき問題となるのは、構造はどこまでいっても構造である ということで、"それ以上分割不可能な最小の何か"などどこにもなく、木枠や布 を樹木や綿に還元しても意味はないでしょう。重要なのは私が"何と"相対してい るかで、対象は"何なのか"だと思う。
絵具によってできるのは布のたわみ、木枠のエッジ、その上を真っすぐな鉄板がとおった痕跡で、それは単なる現象だった。しかし、それらの物がある方法によって" つながり"をもつことで絵画という限定的な空間が拡張していく。 その現象という事実によって単なる物や構造を越えてこの世界が広がって見える。
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