ニューヨーク在住のアーティスト、田島美加の個展を開催します。
田島美加は、人々の生活を密かに包囲し、その思考にまで浸透するモダニズム建築に焦点をあて、人間と、人間が自ら作り出した人工物との関係を考察する。
たとえば彼女にとって作品制作のきっかけとなった、アメリカの企業ハーマン・ミラー社のオフィスモジュールは田島の作品世界において、象徴的な存在といえよう。同社のオフィスパーテーションや可動壁の形状は、効率化、モジュール化、規格化といった、モダニズムの根本にある思想を体現する。それらのいわゆる「インテリア」は、そのなかで長時間を過ごす人間の意識に働きかけ、その行動を制御・支配しうる存在として、繰り返し田島の作品において言及されている。
日本での初個展となる本展覧会では、上記の視点をふまえ、照明型の立体作品や、オフィス環境から着想を得た絵画「Furniture Art」シリーズ、さらに、繊維工場で発生する機械作業音をデジタルデータに変換し、そのデータをパターン化してジャガード織へと変容させた「Negative Entropy」シリーズなどを展示する。
身の回りの「自然」はいつしか失われ、もはや音ですら、自然のそれではなく機械音が日常となっている現代社会のなかで、人間は意識、無意識的に自らの手で生み出したものに支配されることを選択し、生きていくのだろうか?
消費社会の魅惑に満ちつつ華やかな色彩の作品群を通じて、田島は人間とテクノロジーの共存のあり方を問いかける。
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