タカ・イシイギャラリーは、メキシコ・シティを拠点に活動するマリオ・ガルシア・トレスの個展「私たちの空間(第10回東京ビエンナーレ「人間と物質」へのプロポーザル)」を開催いたします。タカ・イシイギャラリーにおける3度目の個展となる本展は、彫刻、写真、音楽作品によるインスタレーションで構成されています。
本展は、1970年に東京にて開催された「第10回日本国際美術展 人間と物質」(通称「東京ビエンナーレ」)へのプロポーザルとして企画されました。美術評論家の中原佑介氏が総合コミッショナーを務めたこの展覧会は、当時のポスト・ミニマリズム、アルテ・ポーヴェラ、もの派などの、異なる視点をもつ美術家の参加プランを実現した国際展として画期的なものでした。当時の現代美術の情況、あるいは広く文化一般の情況をより的確に捉えるために、まだ試みられていなかった方法、たとえば、作家の多くが来日して現場制作を行ない、その場に応じて作品を変化させるなど、美術館という場所や展覧会というメディアに問いを投げかける実験性を帯びた展覧会でした。
そしてこの展覧会は、特定の事柄に対する関心とその実践が、世界中のアーティストの作品間で共鳴していることを明確に示した機会でもありました。中原氏は、「人間と物質は分かちがたく結びつき、それらは互いに影響し合い、互いに規定し合っている」と自身が語る、現実世界との新しい関係を展示作品の中に見出しました。この新たな認識こそがガルシア・トレスが関心を抱く要素なのです。これらの事柄に対する関心がいま改めて高まっていることが、今後の世界の急激な変化を示唆しているのではないかという疑念、そして、現在の変化が1960年代終わりから1970年代始めにかけて起こった、政治と美術の分野における急進的な変化と類似しているのではないかという疑念。このような考えのもとに、「人間と物質」展への現代版のプロポーザルとして本展は構成されています。
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