福永大介は、身近にありながら普段私たちが目にとめることもない取り残された場所、誰からも忘れ去られ放置されたような物を描きます。うらぶれた空き地、建築中のビルのまだ電気工事もされていない地下室や、モップなどの使い古された掃除用具、タイヤ、廃棄物など。福永のペインティングの中で、それらの物たちは表象主義的なエネルギーで描きあげられることによって通常付与されている使用目的を脱ぎ捨て、生物のようにうごめき、まるで感情や表情、人格すら得たかのように存在しています。
福永のペインティングは、このような終末を感じさせる背景と擬人的な表現によって、演劇的で強い喚起力をもっています。それは大きなサイズのキャンバスにダイナミックに展開することでより強調され、その存在の果てしない広がりや物質としての存在感が観る人を強く惹きつけます。
アーティストのコメント
本展では、約10点の新作ペインティングを展示致します。 今回の展覧会の作品やタイトルに関して、福永は以下のように語ります。
「僕は、街の片隅でふと見かけるモップや路上に打ち捨ててあるタイヤやショーウィンドウ越しに飾られたホイール、また外灯で美しい形を浮かび上がらせたバイクシートなどを何とも言えない彫刻作品だと思うことがある。それらはその場の環境や時間の経過、光のあたり具合、あるいは人の手によって使われることで、日々形を変えて彫刻されている。自分は、そうした日々の変化の痕跡に出会う時に受ける驚きと自分がそれらに見出す感情であったり情緒などの感覚をドキュメントするように絵画にする。まるでネコが当ても無く彷徨いひっそりと何かを見つめているような視点でもって。」
2013年の小山登美夫ギャラリー京都での開催から2年ぶり、5回目の個展となります。福永の新たな挑戦となる本展を是非ご高覧下さい。
〒151-0051東京都渋谷区千駄ヶ谷3-10-11
TEL 03-6434-7225
http://tomiokoyamagallery.com/