この度、NANZUKAは、田名網敬一の70年代後半から90年代初めにかけての作品を集めた回顧展「空中回廊」(1975-1993)を開催いたします。
第一部:7月11日(土) - 8月8日(土)
第二部:8月29日(土) - 9月26日(土)
田名網敬一は、1936年東京生まれ、武蔵野美術大学を卒業。1960年代より、グラフィックデザイナーとして、イラストレーターとして、そしてアーティストとして、メディアやジャンルに捕われず、むしろその境界を積極的に横断して創作活動を続け、アニメーション作品からシルクスクリーン、漫画的なイラストレーション、コラージュ、実験映画、ペインティング、立体作品とその創作活動の幅を広げてまいりました。現在も尚広義の「編集」という方法論を用いながら、「アートとデザイン」、「アートと商品」、「記憶と編集」といったテーマに対して実験的な挑戦を試み続け、その国際的な評価は日に日に高まっています。近年の田名網の主要な展覧会として、個展「No More War」(Schinkel Pavillon、ベルリン)、グループ展「Ausweitung der Kampfzone: Die Sammlung 1968 - 2000」(ベルリン新国立美術館、2013)、「International Pop」(Walker Art Center, Dallas Museum of Art, and the Philadelphia Museum of Art、2015)、「The World Goes Pop」(Tate Modern, 2015) 、「Unorthodox」(Jewish Museum,NY)など。また今後も、Karma International(Zurich)や Sikkema Jenkins & co (NY)といた海外のギャラリーでの新作個展も控えています。
田名網の70年代後半から80年代に渡っての作品は、60年代半ばに開拓されたアメリカンポップスタイルからの脱却とも捉えることができます。田名網は、神秘主義、象徴主義的な関心を強め、この時期に数多くの木彫作品、ペインティング、プリント作品を制作しています。また、同時進行で実験映像作品の制作にも熱中し、「人工の楽園」(1975)や「幼視景 もう一つの虹色都市」(1979)、「夢型録」(1984)など、70年代初めから80年代半ばにかけて25本もの作品を制作しています。これらの作品は、「日本の実験映画特集」(MOMA他、1978)、「カンヌ国際映画祭」(1983)、「日本の実験映画の歴史展」(パリ・ポンピドー・センター、1987)、「田名網敬一の映像作品」(MUDAM - Museum of Modern Art - Luxembourg、2011)、「Japanese Underground Cinema Program 6 : Radical Experiments in Japanese Animation」(MoMA、2013)など多数の国際展、映画祭で発表されています。
田名網は、80年代後半から90年代初めにかけて、「田名網敬一の楽園・空中回廊」(渋谷・西武シードホール、東京、1986)、「森の掟」(渋谷・西武シードホール、東京、1988)、「田名網敬一展」(アヌシー・シャトウ美術館、フランス、1987)、「田名網敬一の世界展」(池田20世紀美術館、静岡、1992)など数多くの個展を行っておりますが、本展は、改めてその全貌を俯瞰的に捉えるべく、展覧会を一部と二部に会期を分けて、その歴史を辿ることを目的としています。第一部では、"擬似庭園"というコンセプトの基に1977年より1992年にかけて制作された一連の木彫作品を配置したインスタレーション、ペインティング、プリント作品、そして実験映像作品を展示する予定です。第二部では、当時のデザインを基に2004年にgrafとのコラボレーションで制作された大型の家具や、80年代のペインティング、プリント作品等を展示する予定です。
「幼児期の記憶の総体は真実から掛け離れたもので、どれも正確な記憶ではない。自分の都合のいいように、日々つくり変えられている記憶は、私という人間に大きく揺さぶりをかけているのかもしれない。「記憶は嘘をつく」という定説があるが、嘘の記憶だって、私にとってのもう一つの真実に違いないのである。」(田名網敬一)
〒150-0002 東京都渋谷区渋谷2-17-3 渋谷アイビスビルB1F
電話:03-3400-0075