2015 年 6 月 18 日(木)より、ユミコチバアソシエイツでは高松次郎 個展「イメージにおける主語の不在 〜文字、写真の作品より〜」を開催致します。
高松次郎は、1960 年代後半から 70 年代の半ばにかけて、文字や数字をモチーフにした作品を集中的に制作しています。
高松は、不在という概念から実在の世界を捉えるために、代表的な作品となる影シリーズの制作を 60 年代半ばからスタートしましたが、完全な不在を目指す高松にとって、影が観る側に与えるイメージは強すぎるものでした。そこで、より純粋な不在性を実現するために、文字や数字、言葉を用いてイメージ性や物質性を排除しようと試みたのです。
当時、一般的に普及され始めたカメラやコピー機のもつ複製機能は、こうした姿勢に恰好の素材でした。反復、複写という方法を用いることで、言葉や画像のもつ意味そのものを剥奪し、概念それ自体で独立した世界を完成させようと考えたのです。
「この七つの文字」(もしくは「These Three Words」)は、かつて寺山修司が、
「・・・つまりこの七つの文字というのは、文字通り七つの文字から成っている。そしてそれ以外の事物の代替として存在しているのではないのである。(中略)髙松次郎の、この版画の場合、文字はそれ自体で一つの宇宙として完成しており、事物の介入する余地は全くないというところが面白いのである。」(「さかさま博物誌 青蛾館」より)
と書いているように、文字は文字であり、そこには何物も介在しません。そして「写真の写真」も同様に、何かを示唆する思わせぶりなイメージは排除され、写っているものだけが写っているモノとなるのです。
本展では、同時期に展開された紙や木を使った「単体」シリーズやネットや布の「弛み」シリーズの一方で制作された、高松次郎の概念的な作品を展示致します。
〒160-0023東京都新宿区西新宿 4-32-6 パークグレース新宿#206
TEL:03-6276-6731