このたびBambinart Galleryでは、花沢 忍(はなざわ・しのぶ)個展「うつつ」を開催いたします。
花沢忍(1989年神奈川県生まれ)は、現在多摩美術大学に在籍、ドローイングとペインティングを中心に発表しています。特徴的なタッチで描かれた絵画には、さまざまな動物や色とりどりの植物が描かれています。それらに囲まれ、喜びや悲しみ、またあるいは別の感情が入り交じったような表情をした人々が、踊っていたり、抱き合ったりしており、この世のものともあの世のものともつかぬ世界が広がっています。また展示の際には、キャンバスやペーパーに描いた作品を野外や地面に直接並べたり、4メートル大のキャンバス作品を吹き抜けに展示するなど、絵とまわりの世界の境界を失くし、一体化しようと試みることがあります。花沢にとって、絵画の中の世界は、決して空想上だけのものではなく、いつも花沢と共にある世界なのだということがわかります。
「大事に育てたガジュマルと、道に咲いている西洋タンポポのその魂はどちらも美しく、
そらを飛ぶ鳥も、小さな虫も美しい魂のかけらで
なぜなら世界はそのように私に映り、見える世界は私自身であり、
美しい涙はいつでも目の奥にあるから
花が咲き枯れゆく姿は美しくて幸せであるように、
私たちが生きて、祈って、しんでいく、その魂はしあわせだよ、と、
大事な人に伝わるといい
すきだったよ、さようなら、を毎日繰り返したい
私の大事な人が、泣いたり笑ったりして、そのように幸せに死んで行く姿を、
切なく悲しく、泣きながら見ていたい
自分の死ぬ直前の、最後に描いた絵が、素敵で優しく、そんな絵がかけたらいい
それが遠い誰かにも届くといい
この世に居ない誰かでもいい、名前の知らない人でも、人でなくても」
生命の儚さを知り、肯定的に受け入れようとしているそのことが、花沢の絵画の色彩をより鮮やかにし、描かれた生き物たちは生命を謳歌するように感情を発露しているのでしょう。
どうぞご高覧ください。
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