タカ・イシイギャラリー東京は、5月下旬より東京・北参道に拠点を移します。新ギャラリースペースのオープニング展として、5月22日(金)から6月27日(土)まで、トーマス・デマンドの個展を開催いたします。タカ・イシイギャラリーでの8年ぶり3度目の個展となる本展では、日本人建築家ユニットSANAAの建築模型を被写体とした、「Model Studies」シリーズ最新写真作品約8点を展示いたします。
デマンドは、多くの場合主要メディアから引用した歴史的・社会的事件の記録写真・映像を基に、着色紙や段ボールを使用してその現場を実物大の模型で再現し、それを再び撮影した、まるで事件現場をのぞき込むかのような大型の写真・映像作品で知られています。イメージの力・装置性を検証するデマンドの作品はまた、現実を伝える手段であるイメージが報道やインターネットを通じて瞬時に世界中に配信されることで、それ自体がまるで現実そのものであるかのように振る舞い、現実が撮影されたイメージによって支配される近年の状況を巧みに示唆しています。
制作方法や使われる素材、抽象化された細部やその暫定的な在り様など、デマンドと建築家の模型には多くの共通点がありますが、最終的にデマンドの模型はイメージに還元され、建築家の模型はその数百倍もの大きさの建築物に変貌します。デマンドは、建築模型をあるアイデアを具象化させた彫刻とみなし撮影することで、あらゆるアプローチを通して生じては廃棄されることを繰り返すアイデアの、束の間の美質に光を当てています。模型という概念が有する豊かな可能性を探るデマンドの最新作を是非この機会にご高覧ください。
トーマス・デマンドは1964年ミュンヘン生まれ。現在ベルリンとロサンゼルスを拠点に活動。近年の主な個展として、ロサンゼルス・カウンティ美術館(2014年)、東京都現代美術館(2012年)、新ナショナル・ギャラリー(ベルリン、2009年)、CCA北九州(2008年)、プラダ財団(ヴェネチア、2007年)、サーペンタイン・ギャラリー(ロンドン、2006年)、ニューヨーク近代美術館(2005年)、サンパウロ・ビエンナーレ(2004年、ドイツ館代表)、カルティエ現代美術財団(パリ、2000年)、主なグループ展としてヴェネチア国際建築展(2010年、2008年)、「ヴィデオを待ちながら:映像、60年代から今日へ」 国立近代美術館(東京、2009年)、光州ビエンナーレ(2008年)、「ドイツ写真の現在 - かわりゆく「現実」と向かいあうために」 国立近代美術館(東京、2005年)、ヴェネチア国際美術展(2003年)などが挙げられる。
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Website: http://www.takaishiigallery.com