この度、NANZUKAはドイツ人アーティスト、ヤン・プライトナーの国内初となる新作個展を開催致します。
ヤン・プライトナーは、1984年ドイツ オルデンブルク生まれ、2010年にデュッセルドルフ芸術アカデミーを修了。ベルリン及びデュッセルドルフを拠点とし、2011年「Why is the Question - Yes is the Answer」Avlskarl Fine Art Gallery(コペンハーゲン、デンマーク)、2013年「Stadtmuseum Oldenburg」Förderpreis der Öffentlichen Versicherungen Oldenburg(オルデンブルク、ドイツ)、2014年「Doowylloh」Ancient and Modern(ロンドン、イギリス)等で個展を行っている気鋭の若手作家です。
プライトナーの絵画は、カンディンスキー、クレー、キルヒナーといった20世紀初頭のドイツ表現主義を彷彿とさせる不思議な空気感を持ちます。しかし、その作品が過去の芸術の単純な引用などではないことは、その新鮮な画面を見れば一見して分かります。プライトナーは、即興と緊張を武器に、絵を描く行為とその時間についての考察をその作品に反映させるべく試行を繰り返します。コンテンポラリーアートの文脈において、一見前時代的と揶揄されがちな「潜在意識」や「本能」への言及には、「計算」や「論理性」を武器とする芸術への批判としてではなく、人間が不確定な要素(マター)とする事柄も自然界が長い年月をかけて作り出した"生物の行動を規定する科学"であるとするプライトナーの思想が含まれています。
一筆ずつ加算される秒単位の時間の蓄積もやがては歴史という客観的な時間軸に吸収されてしまう宿命と必然を肯定的に捉えて、プライトナーは自身の制作を「記録を続けるシステム」と称しています。そこには、現在を生きる芸術家として人類の文化的活動の歴史にどのように向き合うのかという、いわば逃れられないテーマから目を反らすまいとするプライトナーの真摯な姿勢があります。プライトナーは、その一筆の中に圧倒的な時間を凝縮しようと挑戦を続けているのです。
本展では、今回の個展の為にプライトナーが来日を果たし、その滞在期間中に制作した新作ペインティングの発表を予定しております。本展に寄せてプライトナーは次のように語っています。
「私にとって、絵画とはゴーストと物質と時間の推移を映し出すことです。それは過去13年間の私の絵画制作の中で発展してきた方法論です。私の作品は長い時間をかけてゆっくりと築きあげられた進歩と同時に記録を続ける独自のシステムなのです。絵画とは直感と経験を通しての発見であり、その最たるゴールはこうした発見の中で常に前進を続けることなのです。」
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