タカ・イシイギャラリー フォトグラフィー/フィルムでは、2月7日(土)から3月7日(土)まで、小平雅尋個展「他なるもの」を開催いたします。タカ・イシイギャラリーでの初めての個展となる本展では、約14点を展示いたします。「他なるもの」というタイトルは、ドイツの宗教哲学者R.オットーが『聖なるもの』(1917年)の中で、非合理的である聖性の本質として提示した概念「ヌミノーゼ(畏怖と魅惑という両義的体験を引き起こす神秘)」を示すために用いた「全く他なるもの」という表現に由来しています。
テーマやモチーフの設定により生じる先入観や合理的な理解を排除したスナップショットの手法で撮り押さえた小平の作品群は、風景写真でも身辺雑記でもなく、「日常の社会的な状態にある自身の意識においては気付くことが困難な、生き物としての深い欲望、根源的な謎、畏れといったもの」に対して小平が示した反応の集積であると言えます。
点在する要素を感覚的に収めた写真を意識的に見るという行為は、無意識と意識の邂逅をもたらし、偶然以上の何かを探求する契機となります。2箇所同時開催となる本展覧会において小平は、自身の直感が反応する要素を陰と陽に分けて作品を展示することで、「他なるもの」を2つの系統としてとらえなおす試みを行っており、本展は作家のこれまでの活動の一つの集大成であると見ることが出来るでしょう。
1972年東京都生まれの小平雅尋は、東京造形大学デザイン学科写真コース在学中より(1997年卒業)、高梨豊、田村彰英らに写真を学び、銀塩写真による表現の可能性を探求し始めました。また、写真家・大辻清司のアーカイブを目的に1996年に有志で結成された「写真実験室の会」にコアメンバーとして参加し、1950年代から80年代に撮影された大辻のネガからのモダンプリント制作及び展示企画に携わりました。2011年には出版レーベル・シンメトリーを設立。同年、作品集「ローレンツ氏の蝶」を刊行。茨城県立つくば美術館、東京アートミュージアム、世田谷美術館区民ギャラリーなどでグループ展に参加している他、1996年より定期的に個展を行っています。主な個展に「ローレンツ氏の蝶」(アイデムフォトギャラリー・シリウス、東京、2002年)、「続きの代わりに」(月光荘、東京、2009年)、「他なるもの」(表参道画廊、東京、2013年)など。
本展と同時開催の展覧会「他なるもの」をプラザ・ギャラリーにて下記の通り開催いたします。
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