1960 年代におもにレリーフ状の白のオブジェの制作を繰り広げ、十七歳で参加した具体美術協会の若手メンバーとして発表をかさねた今井祝雄(1946年生まれ)は、70年代に入ると、つくることへの懐疑から、非物質的な映像メディアを用いた試みへ軸足をうつしていきます。
肉眼とカメラの眼、現実の空間とフレームつきの空間の差異を扱った、写真によるインスタレーションの試み(《視界-フィルム》等)や、テレビのブラウン管が日常生活へ送りこんでくる映像を複写し、時間的なずれの積層・連らなりとして捉えかえす作品(《ビデオスナップ》、《タイムコレクション》他)、さらにまた、インスタント写真(ポラロイド)の"即時性"、ビデオの"同時性"を活かした一群のパフォーマンス(《時間の衣裳》、《セルフポートレイト》他)など――70 年代から 80 年代初めにかけて、今井祝雄はじつに幅広く、ユニークな映像実験を展開しました。その過程をつうじ、今井は一貫して、"時間"の手ざわりを掴み、確かめることを追求し、"時間"をめぐる省察を続けるのです。
本展覧会は、今井の映像メディアによる試みをたどる作品集『タイムコレクション』(水声社、2015 年 2 月)の刊行にあわせ企画開催するものです。
〒160-0023 東京都新宿区西新宿 4-32-6 パークグレース新宿#316
Tel: 03-6276-6731
www.ycassociates.co.jp