児玉画廊|京都では2月14日(土)より 3月21日(土)まで、宮永亮個展「see saw」を下記の通り開催する運びとなりました。宮永は一貫して自らが撮影した膨大な実写映像素材から映像作品及びビデオインスタレーションを制作しています。札幌国際芸術祭2014、MOTアニュアル2014、第五回恵比寿映像祭(2013年)など、近年は様々な舞台で発表の機会を得ています。
宮永の作品は、映像というメディアがそもそもいかなるものか、そして、何をもって映像は美術作品たりえるかという考察を繰り返してきた結果として、被写体そのものよりも、そこに内在する「時間」についてや、対象を包括的に情報化する「尺度」(画像解像度や動画速度、明るさ、音声周波数など様々なサイズ/スケール)について、これらを主題として制作されていることが大きな特徴となっています。この点を念頭に置くことで宮永の作品は一貫性をもって見ることができます。
今回の個展では「WAVY」の他、最新の映像作品を出展致します。「REALTIME-MATERIEL」という作品ではおよそ7分間のロングテイクで駅を行き交う人々を撮影した映像をベースとして、新たな試みを見せています。これまで多数の映像素材をレイヤー化することで特徴的な映像を作り出してきましたが、この作品では、一秒間に24フレーム、つまり、7分間でおよそ10,080フレームに及ぶ映像の一コマ一コマをシャッフルし、1/24秒毎の静止画像がランダムに映し出されるように再動画化されています。すると、7分間という全体のスパンは変わらず、24fpsという映像の進行速度もそのままであるにも関わらず、鑑賞者には目まぐるしい早送りのように認識されるのです。時間軸の再編、という現実にはありえない現象を視覚化します。展覧会タイトル「see saw」(見る - 見た)からも看取される通り、現在、過去、そして未来の時制の差異というものにより照準を絞って制作された作品によって展覧会を構成します。
宮永にとって映像という手段で作品を作ることの目的の一つは目に見えるものの姿や美しさを留めておくのではなく、それを見て人の心が揺さぶられる根源的な理由にまで、映像というメディアを介して遡及することにあります。今回の個展において、映像とは切っても切り離せない「時間」についての考察をより深めることで、また一つその根源へと近接していくことでしょう。
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