2015 年 1 月 13 日(火)より、Yumiko Chiba Associates viewing room shinjuku にて、冨井大裕の個展「粘土の為のコンポジション」を開催いたします。
冨井は、現代を生きる作家の必然としてレディメイド(=既成品)を作品の素材として扱います。
素材そのものが備えている機能、条件、存在定義を制作という行為によって新しいものへと変化させ、全く異なる存在として我々の目前に提示します。それは、素材から全ての意味をはぎ取ると同時に、素材の物理的な要素のみで作品を完成させることによって、物語性にもイメージ性にも形にも頼ることのない、真の意味で自立した作品を作ろうとする行為でもあるのです。
長い歴史の中で「彫刻」と言われてきた従来のイメージから離れた方法で、素材にこだわることなく彫刻のあらたな可能性を探求する姿勢は、twitter にて毎日更新される「今日の彫刻」シリーズや印刷物を用いた作品にも表れていますが、昨年の展覧会でこれら twitter 上の画像を展示した時に、冨井は自身の着目点をこれまでと違ったもので示そうと考えました。そして、そのための補足的な作品に使うという目的を果たす素材として、粘土を選択することになります。
冨井は、大学時代、彫刻学科に在籍し塑像を専攻しました。毎日粘土に向かい続けることで、粘土という素材への愛着を持つようになるのですが、次第に「彫刻」という行為に疑問を持ちある種の挫折を感じるようになります。
以来、作品を制作するうえで粘土に距離を置いてきたと冨井は言います。それから十数年経ち、上述の展示において、冨井は必然的に、また運命的に、その「粘土」という素材に再度向きあうことになります。
「粘土の為のコンポジション」は、こういった自己の中での「彫刻」というコンセプトを、さまざまな試みと実験を続ける中で生まれた作品群です。
「粘土の為の粘土」の有り様を、作品をつくるという手段を用いて追求する。冨井はつくり続けることにより、またそれゆえに、作ることの理由を問い続けています。
今回の展示では、こうした粘土の作品と共に、エディション・ワークスとの初の共同制作となる版画作品を展示致します。ぜひ、ご高覧ください。
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