獅子のような犬、鯉の態様を借りた金魚、絵画化された文字、現代女性による吉祥図。おもに透明水彩を用いて描かれる曄田依子氏の絵は、グラデーション豊かで繊細ですが、どれも伝統文様とそのコンセプトを土台にしながら、ミックスカルチャーによるズレや違和感を少なからず含んでいます。インド、中国、朝鮮半島、そして日本など、アジアの信仰のあり方や世界観、幸福の思想までタテヨコ自在に観察して得られた、曄田史観ともいうべき視座から生み出される絵の数々には、比類のない深さと妖しさ、愛らしさが混在しています。
国内外のアートフェアやコンペで高い評価を受けつつ、定期的に作品シリーズを発表。イラストレーションの分野でも活躍しながら、住吉大社へ絵馬の意匠を奉納するなど、ユニークな応用美術的アクティビティも展開してきました。
本展は、曄田氏にとって東京では初めてとなる本格的な個展です。タイトルは、彼女の絵画観をもっともよく表すシリーズ「獅子狛(ししこま)」から。「古代、信仰のため日本に呼ばれ、獅子から犬へと転じた狛犬に、愛玩犬の歴史や、それがぴったりと寄り添い続けてきた人の歴史との相関を見続けている」という彼女。犬を描きながら実は人間の本質を照射する、そんな揺るぎないスタンスと獅子狛の新作が本展の骨格となります。また、「福字」「違和感」など他のシリーズを含め、アーカイブもまとめて俯瞰いただける機会となります。
大小の原画やジークレープリント、立体作品など約40点あまりを展示・販売いたします。また、獅子狛をモチーフにしたアクセサリーやクラッチバッグ、クッション、さらに季節に合わせたオリジナルのダルマやしめ縄飾りなども紹介・販売いたします。
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