児玉画廊|京都では11月29日(土)より12月27日(土)まで、和田真由子個展「分解と統合」を下記の通り開催する運びとなりました。
和田の制作へのアプローチは、頭の中にイメージしたビジョンを、自分が系統立てたロジックに沿っていかに作品として表出していくか、その演習と実践だと言えます。作品が「絵画」なのか「立体」なのかという区別を、形態(キャンバスであるとか構造的特徴がある等)によってではなく、思い描いた「イメージ」の様態が「絵画的」であるか「立体的」であるかを分析することによって定めています。さらに、和田は作品によって「イメージ」を形にすると謳っていながら、実際そこに現わされているのは「見えている物」ではなく「物をいかに見るか」という方法論であると言い換えるべきものです。見るという行為は、余りに当たり前過ぎて通常は意識されていませんが、であるからこそ和田はそこに一つの問題提起をしているのです。
展覧会名「分解と統合」は、最も近作の半透明ビニールシートに描かれたシリーズに付けられている作品タイトルでもあります。それら作品群が意図することは、「イメージ」を分解し、統合するその方法論を端的に鑑賞者に提示するという試みです。「イメージ」の分解とは、書き割り状の層に分かれた立体視を鑑賞者に具体的に見せることであり、モチーフとなる景色や物体の空間的な重なりを物理的に「層」に置き換えた多重レイヤーのタブローとして提示しています。「イメージ」の統合とは、実際、幾重かの半透明ビニールシートに絵が前後して描かれているために、物理的に分解されたイメージの「層」が透かし重ねられ、一つの統合した「イメージ」として自ずと鑑賞者が認識できる仕組みを言います。つまりそれら作品群は「イメージ」についての和田の解析を鑑賞者が疑似体験する為の装置なのです。
今回の個展においては、児玉画廊の上下2フロアにわたる展示空間に周到に構築された展示構成を辿る内に、我々の目が、視覚が、そして「イメージ」が「分解と統合」を繰り返していくことによって、絵画や彫刻の既定路線から解放された新しい視覚体験を得ることになるでしょう。
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