ベアト・ストロイリは、80 年代の後半から活動を始め、90 年代にはパリ、ニューヨーク、ローマなど世界中の都市で作品を発表し続け、現在はベルギーのブリュセルを拠点にヨーロッパを中心に制作活動を行っている写真家です。
活動を始めた当初は、モノクロの小さなフォーマットの作品を制作・発表していましたが、90 年代の初めにはスライドプロジェクション、そしてヴィデオプロジェクションと空間全体を使った展示構成へと変わっていきます。一方で巨大なトランスペアレントフィルムを用い、それをビルボードやビルディングのウィンドウ、ファサードなどの施設に設置した大型のインスタレーションプロジェクトが世界の様々な都市で実施され、次第にそのスケールは大きくなっていきます。
彼はこれまで、ヨーロッパの様々な都市を渡り歩き、望遠レンズを通して公共の場の人々を撮影し、その場所で生活する人々とそこにある日常性にフォーカスを当ててきました。その表情は先進国の都市そのものを時に象徴するものでもありましたが、ここ近年はヨーロッパの主要な都市だけではなく、非ヨーロッパ社会に対しても社会的な視線を向けるようになり、彼の表現は視覚的でありながら同時に抽象的なものへと、より複雑な構造へと発展しています。
尚、今回の個展開催に合わせ、ベアト・ストロイリと詩人/評論家・倉石信乃氏によるトークイベントを開催致します。また、倉石信乃氏によるベアト・ストロイリについて論述した研究冊子も刊行いたします。
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