この度、NANZUKAは大平龍一の新作個展「絶景」を開催致します。
本展は大平にとってNANZUKAでの初の展示となります。
大平龍一は1982年生まれ、東京都出身千葉育ち、2011年東京藝術大学大学院にて博士号を取得。 2005年に「SICF 6th」森美術館館長南条史生賞、2006年に「第54回東京芸術大学卒業・修了制作展」安宅賞を受賞する他、2010年に大國魂神社へ「随神像」を奉納、2012年鶴岡アートフォーラムにて大型個展「ぼうけんやろう」を経験、2013年には世界遺産である上賀茂神社で開催された「よりしろプロジェクト2013」にて作品「TONGARIMARU」を展示・奉納するなど、既に多くの展覧会やプロジェクトを通し様々な形で作品を発表しております。
本展では木材を使った大小様々な平面、立体作品によるインスタレーションを予定しております。 それらには、制作過程に於いて無作為に線が刻まれた抽象彫刻を焼き炭化させたもの、シンボリックな具象彫刻を焼き炭化させたものがあり、偶然に支配されることなく作為と無作為を自在に行き交うことが出来る方法の一つとして木彫の炭化を採用し、敢えて制御不可能な領域を作品内に施しています。こうした試行作業からは、オートマティズムあるいはダダやフルクサス等から生まれた反芸術思想、ミルチャ・エリアーデの著書の中に書かれている「聖なるもの」「俗なるもの」、ヴァルター・ベンヤミンの「アウラ」の概念など、それらの中で語られる得も言えぬ美や崇高性は如何にして浮かび上がるのかを問い実践する意図を感じることができます。この試行を通し真っ黒に焼け焦げた作品の世界を大平は「絶景」と称し我々に提示します。
本展に寄せて、大平は次のように語っています。
「世界において雷などによる倒木を聖なる木として像をこしらえる風習。人間は何かしらに意味を持たせて、連続性や法則性を無理矢理にでも埋め込もうとする。不確かで曖昧な世界に手がかりを求めて。 そんな人間の不安や希望から出てきた「神」「宗教」、もしくは様々な感覚で空間や場に差異を与え見出して来た「聖地」、今日広告メディアによって作られる「皆が持っている」「みんなが行っている」に対する安心感、もしくは「都内高層マンション」「スーパーカー」などへの憧れ。
私たちは自分が何をしようとしているのかはわかっているけれど、何がその思考の運動をさせているのかを認識していない。
「絶景」という感覚はどこから来ているのか、何を以て「絶景」と呼べるのか、本当にそれが「絶景」なのか。「絶景」を誰から押し付けられるわけでもなく、個々人のなかでそれぞれ「絶景」を見いだすことが大事なのではないか。 」。
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