このたび東京画廊+BTAPでは8月30日(土)より「日本の抽象--その幾何学的側面」展を開催致します。
日本に抽象美術の幾何学的表現がもたらされたきっかけは、ロシアの作家の来日(1920年代)と、村山知義のベルリン滞在(1922-23年)であったとされています。この大正期新興美術運動を受け、1930年代、斎藤義重はロシア構成主義とダダの影響下で制作を始めました。これら、斎藤の初期の幾何学的作品は戦火で失われましたが、1978年、東京国立近代美術館での個展開催に際して再制作されます。このとき、再制作を手伝ったのが、多摩美術大学で斎藤に師事した関根伸夫、小清水漸、吉田克朗ら、「もの派」のアーティストであったことは偶然ではないでしょう。70年代以降の「もの派」の変遷には、日本の幾何学表現の先駆者であった斎藤の影響を見ることができるはずです。
既成の表現形式の逸脱を試みた日本の現代美術は、しばしば、アンフォルメルなどの表現主義的動向と関連付けて語らます。しかし、「もの派」「具体」というような運動をより立体的に理解するためには、世界の同時代的な文脈に結びつけるだけでなく、日本で戦前から受け継がれてきた系譜に位置づけて考えることが重要だと考えられます。
本展では、ロシア・アヴァンギャルドの代表的なアーティストであるウラジーミル・タトリンのレリーフ絵画の再制作をはじめ、斎藤義重、堀内正和、高松次郎、菅木志雄の作品を展示し、日本の現代美術における幾何学的表現の系譜を検証します。
出品作家:ウラジーミル・タトリン(マーティン・チョーク)/斎藤義重/堀内正和
高松次郎/菅木志雄
〒104-0061 東京都中央区銀座8-10-5 第4秀和ビル7階
TEL:03-3571-1808