麻のキャンバスにアクリル絵具とゲルインクのペンで描画、さらに刺繍などを施して一枚の絵を創り上げるのが、佐藤文香氏の手法です。
絵具やインクだけでなく、刺繍糸やビーズ、スパンコール素材など、異質なテクスチュア同士を柔軟に融合させながら用いることで、それぞれの印象を引き立て合い、幻想的な美を織りなしています。半立体的でレリーフのようにも見えるその画面で描かれるのはおもに植物や星など、人の手によらない造形美。深い思索に満ちた硬質なメルへンの世界観は、緻密で多層的な表現と相性がよく、ミクロとマクロを双方に照らし合わせつつ、見る側の空想力を順風でフォローする優しい視点が感じられます。
現代アートらしい自由な着想と、牧歌的なイラストレーションの側面を合わせ持ち、工芸品としても美しい佇まいの彼女の原画は近年、各地の企画展などで注目を集めつつ、固定ファンを増やしてきました。
本展は、作家にとって1年半ぶりとなる東京での個展。
「夜と朝、今までとこれから、その境界をつなぐように縫い重ねる」という彼女の心境がタイトルに引かれており、手法やジャンルのボーダーの可変性を絵で形にし続けてきた作家の本質を、あらためて指し示す展示内容となるでしょう。
新作を中心に自薦のキャンバス作品、大小合わせて約30点を展示・販売いたします。また、ブックカバーやiPhoneケースなどの雑貨類なども合わせて販売いたします。
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