本展のタイトル「既憶景(きおくけい)」は、「既に記憶をもった断片がもたらす風景」を意味しています。
展示作品は、大竹が東京から宇和島に拠点を移した直後の1988-90年に制作されたもので、作家が自ら収集した廃船木材等、様々な断片を組み合わせて作られた作品群と「網膜シリーズ」からの1点で構成されています。これらは、作品に使われている素材そのものが持つ来歴を呼び起こしながら、訪れる人々それぞれの中に既にある記憶と混ざり合わさり、記憶にない記憶の風景を喚起させます。
そして、宮浦ギャラリー六区の正面に遺されたパチンコ店の面影、焼肉店や民宿の看板、港への道程にみえる様々な記憶をもった事物が、さらにそこに重なり合い、記憶がつくられていきます。
訪れる人と、島、過去〜現在が交差し、無意識のうちにこの場所が混ざり合った記憶の風景が、多くの方のなかに生まれ、のこる――。「既憶景」がそうした機会となれば幸いです。
http://www.benesse-artsite.jp/miyanoura-gallery6/kiokukei.html
香川県香川郡直島町2310-77