いつの頃からか、空を飛ぶ人の姿が常に頭の片隅にあるようになった。
それは、ふと目にした光景や耳にした音といった些細な刺激をきっかけに、いっきに脳の前面に出てきて、しばし居座る。
人が空を飛ぶというモチーフは、これまでもときどき作品に登場してきた。
分析や論理的な意味づけから自由でありたいという思いから、制作時は自分が描くものを自分に対して説明することはしないのだが、今回、私はこの人々を"travelers"と名づけてみた。彼らは(女体で現れるので厳密には"彼女たち"と言うべきかもしれないが、性別は重要ではない)、ひとりのときもあれば、大勢のときもある。
それはおそらく、生きるという旅の途で出会う様々な他人たちであり、同時に、その一人ひとりが自分自身であるような気がする。
作家 今泉敦子
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